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9される貧血であり、貧血の主因が腎障害(慢性腎臓病、chronic kidney disease;CKD)以外に求められないもの」と定義されている。2016年2月『2015年版日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン』1)(2015ガイドライン)が公開された。2008年版2)(2008ガイドライン)ではヘマトクリット(hematocrit;Ht)値も目標値として並列表記されていたが、『2015ガイドライン』ではすべてHbによる目標値である。『2015ガイドライン』では貧血の診断基準値としてはHbを用いるべきとされている。Ht値は計算によって求められることが多く、元データとなる平均赤血球容積(mean corpuscular volume;MCV)は、採血後の時間経過とともにさまざまな影響によって変化することがあり、Ht値もそれに従って変動するため、貧血の診断はHb値を用いることがすすめられている。 血液透析患者に対する目標Hbの上限は『2008ガイドライン』では推奨11g/dL(ただし、活動性の高い比較的若年者および減量・休薬基準にて12g/dL)だったが、『2015ガイドライン』にて推奨12g/dLに引き上げられた。Inabaら3)の報告にて、Ht値を4群(27%未満、27~30%、30~33%、33%以上)に分けて3年経過観察し、とくに非糖尿病例でHt値が上昇するほど生存率良好が示されている。JET studyにおいてもHb値10~11g/dLと比較して、11~12g/dL、12g/dL超には有意差はなかったが、11~12g/dLが最良で、12g/dL以上の群でやや死亡リスクが増加したことが示されており4)、減量・休薬基準はこれまでと同様12g/dLを超える場合とされた。生命予後・心血管予後の観点から12g/dLを超えるHb値を推奨するにはエビデンスが乏しいことなどからHbの上限値1ヘモグロビン/ヘマトクリット

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