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11者ではrHuEPO 6,000単位/週皮下注しても目標値に到達しない場合をESA療法低反応性としている。2012年に発表されたKDIGOガイドラインではESA低反応性を、一定量(体重あたりの量)のESAを投与しても1ヵ月後にHb値が上昇しない場合と定義している5)。 ESA投与量と予後に関するメタ解析にて3ヵ月間の週あたり1万単位を超えるrHuEPO投与量は全死亡に対する独立した予測因子であること6)、わが国でもとくにHb 10g/dL未満の患者群でrHuEPO 6,000単位/週以上で生命予後不良7)が報告され、ESA開始後反応性不良が考えられた場合や、ESA維持投与期にESA反応性が低下した場合、速やかに消化管出血、鉄欠乏や透析不足などの因子(表)1)を確認し、原因を検索する。わが国では鉄過剰に対する懸念のあまり、反対に鉄欠乏となっている患者が少なくない。また、亜鉛欠乏は貧血の原因となる一方、亜鉛投薬に伴う銅欠乏も貧血の要因となるため注意する。 Hbが標準を上回る場合、二次性多血症をもたらす低酸素血症を伴う呼吸器疾患、肺がんや腎がんによるEPO産生腫瘍などに留意する。検査値からわかることと治療方針 Hbが標準値を下回る場合、腎性貧血以外に鉄欠乏貧血の頻度が高いとされている(図)1)。鉄過不足の指標としては血清フェリチン値とトランスフェリン飽和度(鉄飽和率[血清鉄/総鉄結合能]:TSAT)を用いることが推奨されており、血清フェリチン値50ng/mL未満の場合は、ESAに先行した鉄補充開始が提案されている。腎性貧血が疑われる場合、ESA投与を考慮1ヘモグロビン/ヘマトクリット

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