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 病棟で経験を積んでいても、はじめて透析室に勤務するとき、体外循環を行うという特殊な治療である透析療法を一から覚えなければなりません。そのため、ベテラン看護師でもまったくの新人になってしまいます。 当院で今年はじめて透析に携わったスタッフからは、「覚えることがたいへん」「やっていることが違うから頭に入らない」「いままでの経験がどこで活かされるのだろう?」といった声が聞かれました。病棟などで透析患者をみたことがあっても、これまでの経験やキャリアが否定される感覚に陥っても仕方ありません。 透析看護では、機器操作やシャント穿刺など、透析療法に関する知識・技術だけではなく、慢性疾患を抱えた患者の自己管理行動への介入も求められます。 導入期では、患者は通院や食事、透析を組み込んだ活動時間など、生活の再構築が必要となり、看護師にはそれらに対するサポートが求められます。また維持期では、看護の対象は自宅で生活している患者であり、患者は長期にわたり治療を受け続けるという特徴があります。体重管理やリンコントロールなど自己管理がうまくできていない患者には、自分自身で意識してもらい、実際に行動をしてもらわなければなりません。そのため、自己管理の意識を変えてもらう必要がある患者さんへの介入は容易ではありません。 本書が、手に取っていただいた方の透析療法への理解の助けとなり、患者さんのQOL向上に貢献できれば幸いです。 2019年10月清永会矢吹病院看護部主任/透析看護認定看護師 相澤 裕編集にあたって

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