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11透析スタッフによるバスキュラーアクセス管理の重要性とエコーの役割 第1章間や透析方法、脱血量が同じであれば、Kt/Vが低下する原因は再循環である可能性が高くなります。透析中に再循環率を測定することは可能ですが、それだけでは再循環の原因を知ることはできません。その点、エコーは、上腕動脈血流量を測定し、狭窄の程度や位置を知ることが可能であり、再循環の原因を突き止めるのに有用となります。 第二は、将来的に生じる問題を念頭に置いた管理です。その多くは、閉塞を予知して予防することになります。閉塞は、脱水や低血圧、血液過凝固などによって生じることもありますが、何といっても狭窄の進行が最大の理由と考えてよいでしょう。なかでも動脈(脱血)側穿刺部と静脈(返血)側穿刺部との間の狭窄は、脱血不良や静脈圧上昇が出現しないため、注意が必要になります。エコーで上腕動脈血流量や狭窄径を経時的に測定することで、経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty;PTA)のタイミングを逃さず、閉塞を回避できることも少なくありません。 第三は、すでに何らかのトラブルがある患者への精査を目的としたエコーです。たとえば脱血不良の原因が、絶対的なシャント血流量低下によるものなのか、分岐後の血管への穿刺などの穿刺に関する問題なのかをエコーで知ることができます。また、吻合可能な血管をエコーで探したり、血管径を測定したりすることも可能です。穿刺トラブルがある場合には、すぐにエコーで血管の状態や針先を見ることができれば、その原因を突き止めることがで図1 バスキュラーアクセス管理の三つのステージ実血流量再循環率現状の把握将来の問題を念頭に置いた管理トラブルの精査エコー血管造影クリアランスギャップ

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