133生体内の鉄サイクル 生体内の鉄サイクルについて図2に示します。食事により経口摂取された鉄は、腸管から腸上皮細胞へ貯蔵されますが、鉄欠乏のない場合はそのまま便中に排泄されます(腸上皮細胞は2日程度で剝離、脱落します)。鉄欠乏がある場合は腸上皮細胞に貯蔵された一部の鉄が血管内へ供給されます。肝臓ではフェリチンと結合した鉄を貯蔵していて、鉄欠乏のときのみ血管内へ供給されます。鉄が過剰の際は血管内から肝臓へ貯蔵されます。 血管内でトランスフェリンと結合した鉄は、骨髄で赤血球の前駆細胞である赤芽球に取り込まれ、赤血球の造血に作用します。その後、赤血球中のヘ図1●トランスフェリン飽和度(TSAT)の算出トランスフェリン飽和度(TSAT)= ×100血清鉄総鉄結合能(TIBC)図2●生体内の鉄サイクル腸上皮細胞から供給血管内肝臓トランスフェリンと結合し血清鉄として運搬フェリチンと結合し貯蔵鉄としてプール骨髄(赤血球造血)赤血球ヘム鉄として各臓器へ酸素を供給マクロファージにより貪食・分解第章2血液生化学検査のギモン
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