編集にあたって よいか悪いかは別として、医療の大部分は薬を飲んでもらうことではないでしょうか。市販薬も含めると、薬を飲むことは私たちの生活に大きくかかわっています。その飲み方は、お薬手帳や添付文書に書いてあるとおりにすれば、副作用もなく効果が得られるはずです。しかし、このあたりまえの方法が使えないのが透析患者です。透析患者では尿が出ないので、体の外に出すはずの余った薬もすべて体内に蓄積してしまいます。そして透析療法によって体の外に出てしまって効果が弱くなる薬もあります。また、透析患者のなかには十種類以上も薬を飲んでいる方が少なくありません。本当にそんなに必要なのでしょうか? そんなに飲んで大丈夫なのでしょうか? この本では、透析患者を管理するときに出てくる素朴な疑問、聞かれた方も答えにくいほどあたりまえのことについて解説しています。そのため、本を書き慣れている大学のスタッフではなくて、現場でみなさんの先輩に同じようなことを何度も教えてきた臨床の第一線にいる方々に執筆をお願いしました。文章を書き慣れていない方もいらしたので、そのぶんは私が少し整理しました。たくさんの患者を長い間見続けてきた人にしか書けないような内容になっていると思います。みなさんが迷わずに透析患者に向き合えるサポートになれば何よりです。2019年5月東京医科大学腎臓内科学分野主任教授/東京医科大学病院副院長 菅野義彦
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