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透析患者にとってフットケアが大切な理由どんな制度? 「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」とは、透析患者が下肢の切断に至らないようにするため、透析医療機関が足病の専門病院や血行再建を行う病院を登録しておくことにより、透析患者1人当たりの診療報酬に毎月100点の加算がつく制度です。2016年に新設された特殊な制度です。一般的に診療報酬というと、薬を処方するなど、ケア(処置)をした診療行為そのものにお金が支払われるイメージです。しかし、この制度は下肢切断を予防するための体制をととのえることで、透析患者ごとの診療報酬に加算がつくのです。この加算がつくためには、下記の3つの施設基準を満たさなければなりません。①慢性維持透析を実施している患者全員に対し、下肢末梢動脈疾患の重症度などを評価し、診療上必要な指導管理を行っていること。②足関節/上腕血圧比(anklebrachialpressureindex;ABI)検査0.7以下または皮膚灌流圧(skinperfusionpressure;SPP)検査40mmHg以下の患者については、患者や家族に説明を行い、同意を得たうえで専門的な治療体制をととのえている医療機関への紹介を行っていること。③連携を行う専門的な治療体制を有している医療機関の要件を満たしている当該医療機関内の専門科と連携を行うこと。どんな目的で? ひとえに、透析患者の下肢切断を予防するためです。透析患者が大腿切断に至ると、約半数が1年以内に死亡し、5年生存率は15%です。また、透析患者の1万人以上が下肢切断に至っているともいわれています。これらを予防するためには、医療スタッフ個人のがんばりに頼っていても効果は小さいでしょう。そこで、診療報酬に反映するかたちで制度化することで、大きな効果を生むことを期待しているのです。施設基準を満たすポイントは? まず、すべての患者を評価しなければなりません。そして、定期的に評価がなされていると記録に残す必要があります。これらが正確になされるためには、医療スタッフ個人のがんばりに頼るわけにはいきません。透析医療機関のなかでも、評価のための「仕組みづくり」が重要です。たとえば、毎月の評価を誰がするのか、どのように記録を残すのかを明確に決めておく必要があるといえます。記録も専門の用紙を用意したほうが後々便利かもしれません。 ABIやSPPも定期的に施行され評価できおさらいしよう! 「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」なかむら・ひでとし中村秀敏真鶴会小倉第一病院理事長/院長211

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