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異常を知るなら、まず正常から9A摂食嚥下障害の基礎知識1視鏡検査を用いた評価を行ったところ、摂食嚥下機能と食事形態のレベルの乖かい離りが多かったという報告もあります9)。つまり増加する摂食嚥下障害患者に対し、周囲の知識や対応が追いついていない状況だといえます。 今後、脳血管疾患後の明らかな摂食嚥下障害患者だけでなく、徐々に摂食嚥下機能が低下していく高齢者を早期に発見し対応することや、患者さん・家族に指導や啓発活動を行っていくことがさらに重要になるでしょう。そのため、看護師をはじめとした医療・介護にかかわる多くのスタッフが、摂食嚥下障害のスクリーニング評価や対応のスキルアップを目指し、おいしく安全に食べるための環境を整えていくことが大切だと思います。引用・参考文献1)藤島一郎.“摂食・嚥下の観察”.摂食・嚥下リハビリテーションマニュアル.東京,医学書院,1996,37-8,(JJNスペシャル,52).2)藤谷順子.“嚥下のメカニズムとその関連症状”.誤嚥を防ぐケアとリハビリテーション.東京,日本看護協会出版会,2006,11.3)刈安誠.“本書で使用する主な用語”.嚥下障害の臨床:リハビリテーションの考え方と実際.日本嚥下障害臨床研究会編.東京,医歯薬出版,1998,4-5.4)馬場尊.“診察 栄養評価”.摂食・嚥下リハビリテーション.第2版.才藤栄一ほか監修.東京,医歯薬出版,2007,130-6.5)藤島一郎.“嚥下障害とは”.口から食べる:嚥下障害Q&A.第4版.東京,中央法規出版,2011,15.6)藤島一郎.“嚥下障害とは”.前掲書5).40.7)総務省統計局.“高齢者人口及び割合の推移(昭和25年~平成28年)”.http://www.stat.go.jp/data/topics/topi970.htm(2017年3月13日閲覧).8)“認知症,25年に700万人 厚労省が国家新戦略”.日本経済新聞Web刊2015年1月7日付.東京.日本経済新聞社.9)戸原玄.“摂食・嚥下障害における医科と歯科の連携”.摂食・嚥下障害を考える.第2集.国立健康・栄養研究所栄養教育プログラム食介護研究会編.東京,カザン,2008,6-14.(万人)(%)4,0003,5003,0002,5002,0001,5001,000500040.035.030.025.020.015.010.05.00.025高齢者人口の割合(右目盛)30354045505560271217222728昭和平成(年)80歳以上75歳以上65歳以上70歳以上   高齢者人口および割合の推移(昭和25年〜平成28年)7)図3

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