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6摂食嚥下障害とは  摂食嚥下とは、食べ物を認知して口から取り込み、咀嚼・食塊形成を行って嚥下し、食道から胃まで移送する過程のことをいいます。この一連の流れのどこかに問題が生じたときに起こるのが、摂食嚥下障害です(表11))。 摂食嚥下障害は、低栄養・脱水、誤嚥性肺炎・窒息、食べる楽しみの喪失といった問題を引き起こします。これに対し適切な評価・対応ができないと、図12)のように悪循環に陥り、重症化してしまいます。この悪循環を断ち切るためにも、摂食嚥下障害の早期発見・早期対応が重要です。誤嚥=誤嚥性肺炎ではない  まず、誤嚥に関する言葉の定義を確認しておきます(表2)3、4)。 私たちも食事中に不注意からむせることがありますが、だからといって誤嚥性肺炎になることはまずありません。誤嚥性肺炎にかかわる要因として、誤嚥の量および内容、喀出力、体力・免疫力の3つが関係しています(図2)2)。つまり、同じ物や量を摂食嚥下障害の基礎知識1 近年、「嚥下障害」や「誤嚥」という言葉は、世間にも知られるようになってきました。しかし、患者さんや家族から「水がいちばん飲みやすいと思っていました」などという声を聞くことも多く、摂食嚥下障害の正しい知識が浸透しているわけではありません。医療・介護従事者には、高齢者の摂食嚥下障害を早期に発見し対応することや、誤嚥性肺炎を予防するために患者さん・家族に対して指導・啓発活動を行っていくことが求められています。摂食嚥下障害の評価・対応を学ぶ前に、まずは摂食嚥下障害の基礎知識について確認していきましょう。

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