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異常を知るなら、まず正常から7A摂食嚥下障害の基礎知識1誤嚥しても、喀出力や体力・免疫力によって肺炎になる場合とならない場合があります。そして、水と胃液の混じった嘔吐物では、同じ量を誤嚥したとしても身体への侵襲度が異なります。誤嚥性肺炎が繰り返されやすいのは先ほどの悪循環に陥りやすいからであり、嚥下状態にばかり目が行きがちですが、全身状態の改善にもしっかり目を向けることが大切です。摂食嚥下障害の原因  脳血管障害やパーキンソン病をはじめ、摂食嚥下障害を引き起こす基礎疾患は多岐にわたります(表3)5)。最も多い原因は脳血管障害ですが、摂食嚥下に直接関係のない疾患や、手術後に摂食嚥下障害を合併するケースもよく経験します。「75歳を過ぎ食べられない誤嚥するかかりやすい治りにくい低栄養・脱水肺炎   嚥下障害の悪循環2)図1   摂食嚥下障害を疑うおもな症状1)より作成表1●●食事時間・食べ方の変化●●食事の内容や好みの変化●●むせる●●咳が出る●●咽頭違和感・食物残留感●●声の変化●●痰の量の増加●●食欲の低下●●やせ・体重の減少   嚥下に関する言葉の定義3、4)より作成表2●●喉頭侵入……●食物や分泌物・胃内容物が喉頭前庭とよばれる喉頭の入り口に一時的に入るが、声門下までは入らなかった状態●●●誤嚥…………●食塊や分泌物・胃内容物が声門を越えて下気道に入った状態●●誤飲…………●飲食物・胃内容物以外の異物が咽喉頭・気管・食道に入った状態●●不顕性誤嚥…●誤嚥しても咳反射が起こらない状態、または非常に遅れる状態   誤嚥性肺炎にかかわる要因2)図2誤嚥≠誤嚥性肺炎●●誤嚥の量および内容●●喀出力●●体力および免疫力

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