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8 マネジメントとの出会い 私が「マネジメント」という言葉に出会ったとき、日本語に訳すためにいろいろと調べましたが、日本語には訳せないとの結論に至りました。日本語の「管理」「経営」はマネジメントの一側面しか表していません。「管理」は冷たいイメージと上の立場からやらされている感が強く、「経営」はお金もうけというイメージがあります。 五十嵐1)は「一見不可能と思われる事柄を、あれこれ工夫を凝らして、何とか実現する」という意味がマネージ(manage)にはあるととらえており、マネジメントを「何とかして、人と仕事をうまく結びつけること」と訳しています。マネジメントの語源には「セルフコントロール(自律統制)」の意味を含んでいます。マネジメントは、やらされるのではなく、自ら進んでやっていくものであって、「管理」と訳すと少し違った印象になります。 マネジメントの生みの親、発明者といわれているピーター・F・ドラッカーは、マネジメントに関する著書を多数執筆しています。邦訳された著書もたくさんあり、企業の事業経営から公的機関や非営利組織などの組織運営全般にわたり、多面的に適用して論じられています。これは、マネジメントという言葉にはひと言では言い表せない奥深さがあり、今日の組織社会が抱えている問題の深刻さを表しているものととらえることができます。マネジメントとは何か1

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