302240260
11/12

9A摂食嚥下はこう変わる!……1“““““““““““““““““““““““““““““な状態像でもあります。要するに、加齢に伴うさまざまな臓器機能変化や予備能力低下によって外的なストレスに対する脆弱性が亢進した状態で、可逆性のある状態のことです。外的ストレスとは、軽度の感染症や事故、手術などによる侵襲であり、これらの外的ストレスにさらされた場合、フレイル高齢者はせん妄、褥瘡、感染症などの合併症のリスクが高くなります(図4)2)。サルコペニアとは3) 一方、サルコペニアとは、ギリシャ語のsarx(筋肉)とpenia(減少)を組み合わせてつくられた概念で、「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、QOL低下、死のリスクを伴うもの」と定義されています。サルコペニアは、身体的フレイルの重要な要因で、原因が加齢のみの場合を原発性サルコペニア、加齢以外(活動、栄養、疾患)の場合を二次性サルコペニアと分類されます。また、入院時の安易な「とりあえず絶食」「とりあえずベッド上安静」といった指示などによってもたらされるサルコペニアは医原性サルコペニアとよばれます。* * * 嚥下にはさまざまな筋肉が関連しており、フレイル・サルコペニアによる筋肉の衰えは、当然、嚥下関連筋にも影響します。そのため、「老嚥」「オーラルフレイル」といった加齢による嚥下機能低下を表す概念も登場してきています。また、第19回日本摂食嚥下リハビリテーション学会(2013年)では、「加齢以外の原因も含めた全身及び嚥下関連筋群の筋肉量減少、筋力減少による摂食嚥下障害」を「サルコペニアの摂食嚥下障害」と定義しています4)(図5)5)。2図4 フレイルは不良の転帰につながる 荒井秀典.“フレイル”.老化と摂食嚥下障害:「口から食べる」を多職種で支えるための視点.藤本篤士ほか編.東京,医歯薬出版,2017,37.より引用医療費の増加転倒・骨折要介護状態死亡認知症施設入所・入院多剤併用フレイル

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る