はじめに 私たちの体は、数にして約37兆個、種類にして約200~300種類の細胞からできているといわれており、一つひとつの細胞には、さまざまな環境の変化に対応して体内環境を一定に保って生存を維持するホメオスタシスが備わっています。ホメオスタシスによって私たちの健康が維持されるためには、体のなかのそれぞれの器官が協調してはたらく必要があり、そこにはホルモンが重要なはたらきをしています。 臨床の現場で、みなさんが患者に接する際に、患者の体のなかで起こっている病態を理解して、治療や指導にあたることは、適切な栄養管理を実践するうえでとても重要です。それぞれのホルモンが体のなかでどのようなはたらきをもっているのか、あるいは過剰状態や欠乏状態になった場合にどんな症状や病気が現れるのかといった知識は、臨床栄養に欠かせません。 本書は、メディカ出版の医療・栄養専門誌『Nutrition Care』に3年間にわたって計32回連載された「イラストで学ぶ 栄養にかかわるホルモンよくわかる講座」に、加筆・修正を加えて単行本化したものです。最初にホルモンの歴史と分類を総論的に紹介し、33種類のホルモンを6つのカテゴリーに分類して、その特徴、体内での役割、過剰時の問題、不足時の問題について、イラストを用いてわかりやすく解説していますので、最初から読んでも、あるいは必要な部分だけ読んでもすぐに臨床栄養に活かすことができます。本書が管理栄養士・栄養士の方々ばかりでなく、臨床栄養に関与する医師・歯科医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方々や、それらを目指す学生のみなさんに役立つ臨床栄養の指南書となることを願っております。 最後に連載にご協力いただいた新古賀病院糖尿病・内分泌内科ならびに栄養管理課のみなさま、編集部の西川雅子さん、奥村弥一さんに深く感謝いたします。 2019年12月新古賀病院副院長・糖尿病センター長川﨑英二
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