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10在宅ケアとは 在宅ケアとは、在宅でのさまざまなケアの総称として使われる言葉です。このケアのなかには、保健・医療・福祉の専門家が法制度に従って行うものから、家族や地域住民などがインフォーマルに行うものまで幅広く含まれます。 また、施設内のケアに比べ、何十年といったように長期間にわたることが多くなります。利用者の健康状態のみならず、家族の介護力、経済的・社会的状況が時間の経過とともに変化するため、在宅ケアチームを構成するメンバーや、その支援方法も変化していくことが多いのです。  そのため、在宅ケアに関わる専門職は、在宅ケアチームメンバーのそれぞれの役割や業務内容を把握し、相互に尊重する必要があり、さらには専門職以外のメンバーの支援や指導をする責任もあります。そして、そのときの利用者・家族に最もふさわしいケアをチームで分担・協働して実施するために、このチーム内の連携がたいへん重要になります。在宅ケアを受ける利用者と環境の特性 在宅ケアの多くは、家や居室のように利用者固有の生活空間で行われます。そのため、利用者の価値観や自律を尊重し、サービス提供者が必要と思っても、利用者・家族の同意を得ずに行うことは、信頼を損うおそれがあります。そのため、必要と考えるケアについて、相手に受け入れてもらえる関係をまず作り、そのうえでわかるように説明できる能力が求められます。 利用者と家族の関係で施設内のケアと異なる点は、在宅でのケアの主体はサービス提供者ではなく、利用者や家族だということです。これは家族にとっては特に大きな違いであって、家事や就労に加えて介護をするのですから、介護の負担が家族にとってどの程度であるかを、常にアセスメントする必要があるといえるでしょう。 こういったことからは、多様な健康問題をもつ多くの利用者に対し、同時に、あるいは次々とケアを行う施設内のケアとは、在宅ケアは異なる特徴があるといってよいでしょう。 「介護保険で利用できるサービス(表1)」と、「介護保険と医療保険の給付の区別(表2)」を示します。

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