はじめに 「医療はどんどん進歩し、過去にはできなかったような多くのことができるようになりました。医療技術が進歩しても、残念ながら人間の身体が進歩するわけではありません。その結果として、いろいろな医療機器をつけたり、ケアを受けながら長い期間にわたって生活する人々も増えていかざるをえません。ですから、今後在宅でのケアはその仕事の質・量ともますます増大せざるをえないでしょう。そして、在宅での生活の質はまさにケアの質に大きく依存することになります」。 この文章は、初版が発行された2008年に編集指導者の一人だった故郡司篤晃先生(当時、聖学院大学大学院)が推薦文として書かれたものです。 12年前のこの洞察は今になってもいささかも古びれることはなく、むしろその重要性が増しています。そして、「在宅ケアの質の確保のための基礎的知識・技術である感染予防」もますます広く認識されています。 おかげさまで本書の初版は多くの方に読まれ、日本の在宅ケアにおける感染予防の向上と普及に少しは貢献できたかと自負しています。 今回、多くの皆さまのご指導とご協力を得て、情報をアップデートし、 オールカラーで改訂2版を発行する運びとなりました。 執筆者や編集者のご尽力に感謝するとともに、本書が訪問看護の現場におられる方々や感染制御に携わっておられる方々に活用され、今後ますます重要となる在宅ケアの質の向上に少しでも役に立つことを願っています。2020年1月NPO法人HAICS研究会PICSプロジェクトチームIntroduction
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