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はじめに 「訪問看護って何をやっているのかよくわからない」と多くの病院勤務の看護師仲間たちから言われます。そうした看護師も、在宅療養者の看護に触れると、「そこまで配慮して看護しているなんて驚いた」と語る人もいます。 今求められているチーム医療では、協働する他者をよく理解することを重視しますので、この本では、病院と在宅の看護の架け橋となることを願って、在宅で展開される看護あるいは訪問看護師の意図について、一通り紹介したいと思います。 編集会議開催当初は、訪問看護の初心者がポケットに入れて持ち歩けるQ&A集を作ろうとしましたが、対象者を網羅し、各状況に応じた看護を整理しようとしたら膨大な分量になってしまいました。とてもポケットには入りませんが、在宅看護の基本的な情報を幅広く入手できる貴重な一冊になったと思います。 構成は、これから在宅療養する、あるいは在宅療養している子どもへの看護から始まり、成人、超高齢者、そして看取り期にある人々への順番で、それぞれについて、初めて受け持つとき、日常ケア、医療処置、チーム協働に関すること、緊急時の対応そして家族への対応についてなどで、Qを整理しました。AはQ に対して、最も適した若手の在宅看護スペシャリストに執筆依頼しました。看護職でない執筆者も加わり、内容が豊かになったと感じています。執筆者の素晴らしい実践と在宅看護への深い理解に感謝いたします。 読み進めると、在宅看護なのに病棟や外来の看護と同じではないかと奇妙な感覚をもつかもしれません。それは在宅でも病院でも、看護の基本は同じですから当然のことです。ただ、在宅ではとことん患者本人と家族に寄り添うことと、異なる所属の多職種と協働することからくる関わりが少し違うのだと考えています。読者の皆さまには、病院ルールに患者をあてはめるのではなく、個別性を重視して対応する看護の本質に触れ、在宅医療がますます推進される今の時代に合った看護を見つめ直す機会としてほしいのです。 最後に、第5回日本在宅看護学会学術集会の開催に間に合わせ、嵐のような編集作業を買って出てくれたメディカ出版の二畠令子さんはじめ編集スタッフの皆さま、良い機会を頂戴しました。ありがとうございました。2015年10月吉日山田雅子

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