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3…意識障害1)覚醒障害 覚醒の中枢が障害されると、覚醒障害が発生します。うとうと眠り込み、刺激をすると目覚めて反応するような意識障害です。たとえば、舞台の照明が暗くなれば演劇内容もわかりにくくなるように、覚醒障害が発生して進行すれば、通常、意識内容障害も並行して進行します。古典的用語の昏迷(stupor)や昏睡(coma)などは、覚醒障害が前面に出た意識障害といえます。2)意識内容障害 大脳皮質が広範に障害されると、意識内容障害が発生します。目覚めていて瞬きもあるのに、質問しても的確な答えが返ってこないような意識障害をいいます。せん妄(delirium)や錯乱(confusion)は、意識内容障害が著明な割に、覚醒障害ははっきりしません。3)急性期意識障害①頭蓋内病変 脳卒中や頭部外傷などの頭蓋内病変が発生して急速に大きくなると、頭蓋内圧が上昇して脳ヘルニアをきたします。結果、脳組織は歪み、とくに脳幹部が圧迫・障害されれば覚醒障害が前面に出た意識障害が出現します。放置すれば、脳死など生命に関わる状態に陥るため、緊急対応の対象となります。②頭蓋外病変 尿毒症性脳症、細菌性脳・髄膜炎、中毒など頭蓋外に原因のある病変(頭蓋外病変)では、初期は毒性物質に弱い大脳皮質がまず障害されるため、意識内容障害が前面に出た意識障害が発生します。この時点では脳死などの心配はありませんが、進行して脳幹部にも影響が及ぶと覚醒障害が明らかになるため、場合によっては緊急対応も必要になってきます。4)慢性期意識障害①慢性期重症意識障害 慢性期とは、急性期の重症意識障害と生命の危機を乗り越えた2~4週後頃、自発開眼して瞬きがみられるようになった時期をいいます。この時期に、重度の意識内容障害があると、自分や周囲の環境を認知できないか、あるいは認知できてもきわめて限定的な状態となります。このような意識障害に対しては、合併症の予防と介護負担の軽減が重要な課題です。②慢性期軽症意識障害 頭部外傷後などでは、慢性期に入って意思疎通が可能となるまで改善するものの、自発性喪失、感情不安定、健忘などの症状が残るため、自立・社会復帰が困難になる、または遅延する例があります。このような意識障害例が完全に回復するのか、あるいは回復しない場合は、いつ認知症や高次脳機能障害に移行していくのかなど、まだ不明な点が多くあります。31章 意識障害を正しく理解する 1意識・意識障害とは
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