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1 在宅ケアの現場における暴力・ハラスメント被害の危険性 昨今、訪問看護師や訪問介護員が利用者・家族から受ける暴力・ハラスメントの被害が報告されるようになってきました。この暴力・ハラスメントの問題は、訪問看護師や訪問介護員の心理的な安全を脅かし、メンタルヘルスの不調や休職、離職の誘因となっています。 なぜ、在宅ケアの現場では暴力・ハラスメント被害の危険性が高いのでしょうか。その理由にはいくつかあげられます。 まず、利用者宅に単独で訪問し業務にあたることです(表1)。利用者が家族と生活している場合、スタッフが1人であるのに対し、利用者と家族は複数人という数の違いが、力の差になりやすい環境です。また、利用者が独居の場合でも、利用者との体格差や腕力の差が大きい場合があります。在宅ケアの現場で知っておいて ほしい大切なこと1表1 在宅ケアの現場における暴力・ハラスメント被害の危険性・利用者宅に原則1人で訪問し業務にあたる・女性スタッフが9割以上と性別に偏りがある・サービスを提供する職場環境の密室性がある・事業所と利用者宅までの物理的距離がある・24時間訪問巡回サービスを展開している事業所が多い・利用者宅で緊急通報することは困難である・利用者宅に人を攻撃するためのあらゆる道具が豊富に存在する・利用者や家族からの暴力・ハラスメント被害の履歴やリスクに関する情報が少ない・小規模事業所が多く、十分な安全対策を講じることが難しい10

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