第 章1 基本方針と考えかた 3 暴力・ハラスメントを取り巻く国内外の動向 この10年の在宅ケアの現場での暴力・ハラスメントに関する国内外の動向を表2(p15)にまとめました。日本ではこの数年で、在宅ケアの現場での暴力・ハラスメントの問題がくり返し報道されてきたこともあり、急速に動き出していますが、先駆的に取り組んでいるのは兵庫県です。2015年に兵庫県下における「訪問看護師が利用者・家族から受ける暴力の実態調査」が行われ、2017年1月29日に「訪問看護師等が利用者・家族から受ける暴力対策検討会(通称:コードホワイト)」が立ち上がり、定期的に事例検討を重ね、訪問依頼時、訪問開始後に使用できる『訪問看護師のための安全判断チェックポイント』が作成されました。 2017年は、(新)「訪問看護師・訪問介護員安全確保・離職防止対策事業」が実施され、全国に先駆けて兵庫県で、暴力行為等のため複数名訪問が必要で、利用者や家族から同意が得られない場合、2人目の訪問加算の一部を兵庫県が助成するということが決まりました。また、「訪問看護師・訪問介護員に対する暴力等対策検討会議」を定期的に開催し、“〜訪問看護師、訪問介護員への暴力等お困り相談ひょうご〜”として相談窓口を設置し、兵庫県内の相談を受け付けています。さらに、『訪問看護師・訪問介護員が受ける暴力等対策マニュアル Ver.1』を作成し(p14 図1)、兵庫県内関係者に配布し、研修会も行っています。 2018年には、全国訪問看護事業協会「訪問看護師が利用者・家族から受ける暴力に関する調査研究事業」による全国調査が実施され、6月に結果が公表されました。 一方、2018年は訪問看護師以外の調査も活発に報告された年になりました。4月に日本介護クラフトユニオンの調査で介護現場での被害実態の中間報告が公表されたことを皮切りに、8月に初の小児医療現場での暴力の全国調査結果の速報値(過去1年間に何らかの暴力・ハラスメント被害の経験率は10.3%)が日本外来小児科学会において報告され、9月に産業別労働組合・UAゼンセンが3万人調査を実施し、小売り・サービス業の7割が迷13
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