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はじめに 本書を手に取っていただき、ありがとうございます。 2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の世界的な感染拡大をきっかけに、2020年には企業のテレワークや在宅勤務が一気に拡がりました。 私はふだん、産業医や心理カウンセラーとして活動していますが、最近では、テレワークを長期的に導入していこうとするクライアント企業の求めに応じる形で、メンタルヘルスやコミュニケーション面からのコンサルティングサポートも行っています。 テレワークが導入されてから起こってきた、ハラスメントなどのコミュニケーション上のトラブル、メンタルヘルス不調などの課題をみていると、どうやら「テレワークが始まったから」という理由だけで発生しているのではなさそうです。 ほとんどのケースで、企業の組織文化の課題やマネジメントのあり方、コミュニケーションの課題、社員がそこはかとなく抱えているストレスや言葉にできない心のモヤモヤなど、以前から潜在していた課題がたまたまテレワークをきっかけに明るみに出たにすぎないということに気づきました。 しかし、問題がでてきたということは、よりよい組織をつくっていくための問題を解決するチャンスだとも言えるのです。 未知の感染症だけでなく、技術革新や気候変動などの影響で、今後も社会や経済の状況はめまぐるしく変化していくことが予想されます。否が応でも、組織も個人も大きな変化に対処していかなければなりません。3

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