T280550
10/14

10加齢変化の共通性と個体差 生物学的、医学的な意味で、人に生じる加齢変化は、①すべての個体で、②時とともに進行し、③心身の機能障害を生じる、という特徴を持っています。一方、加齢変化には、個人の生活様式、生き方や個人的経験、さらに医療も含めた種々の環境との積年の関係・相互作用が影響を及ぼし、進行性の機能障害を抑制、あるいは促進するなど複雑に関連しています。そのため、時間経過とともに健康度や虚弱度に個体の差、つまり個人差が強く表れてきます。大きな個人差自体が高齢者注❶の特徴的所見と言ってもよいでしょう。注1:「高齢者」とは一般に65歳以上を指しますが、加齢に伴う変化は連続的で、また個人差が大きいので、個々人への適用や認識にあたっては、その点に十分留意することが必要です。また、「加齢変化」は生誕以降次第に生じる人体の変化ですが、ここでの用法は成人以降に限定され、むしろ高齢をより意識した変化を指しています。その意味で「老化」とほぼ同義と言えるでしょう。全身的変化1.11の器官の老化1▶加齢による変化は誰にでも起こるが、個人差が大きい。▶身体の諸器官は予備能を減じる方向で変化する。▶予備能が減じると、高度ストレスに対応しにくくなる。▶ホメオスタシスも環境変化が厳しいと適応困難になる。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る