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ありました。2.認知症患者の苦しみに寄り添うケアへの転換 しかし、1990 年代に入ってからは疾患が基盤にあることがわかり、認知症をもつ人自身の発言から、いかに認知症の患者さんが苦しんでいるのかがわかってきました。そして、認知症に伴って起こる行動や症状を、「問題行動」とは捉えないことが認識されるようになりました。その後、2000 年代に入ってからは、中核症状・周辺症状、そして、認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)という言葉が一般的に用いられるようになり、これらBPSD は、認知症の人からのサイン・メッセージだと捉えられるようになりました。認知症という病気を理解する1.定 義 認知症という言葉は、1 つの疾患を表す言葉ではなく状態を表す言葉です。定義には、米国精神医学会の診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder 5 th edition;DSM-5)が用いられます。注意力、実行機能、学習・記憶、会話、日常生活動作、他人の気持ちや考えの理解といった認知機能のうち、1つ以上が低下し、日常生活における自立性が低下した状態とされています1)。症状には、認知機能の低下によって起こってくる中核症状とそれに伴って起こる周辺症状があります(図1)2)。2.原 因 認知症は、さまざまな疾患が原因となって起こってきますが、アルツハイマー型認知症が最も多く半分以上を占めます。他には、レビー小体型認知症や血管性認知症、前頭側頭型認知症などが原因にあり、この4 つを4大認知症と呼びます(表1)。他にも認知症の症状をもたらす疾患として、頭部外傷、脳腫瘍、正常圧水頭症、ビタミンB12 欠乏、アルコール依存、薬物中毒などがありますが、これらは基礎疾患を治療することによって改善が望めます(表2)。91. 認知症のある患者さんに接するときにまず知っておきたいこと

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