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 わが国の超高齢社会の到来は、私たちに長寿を喜ぶことができ、社会的には住みやすい、成熟した社会の到来を示してくれたことと捉えたいと思います。しかし、このことは同時に認知機能の低下した患者さんや認知症の方の入院が多くなることを示しています。そして、このような状態は、今後さらに増加していくことと思っています。 認知機能の低下した患者さんが入院してきた際、看護師をはじめ、対応する医療従事者が適切でない対応をしたため、症状が悪化したという話や、看護師自身もどのように対応するとよいのか悩み、苦慮しているという話が聞かれています。 今後、一般病院でも救急搬送されたり、手術を受けるような認知症のある高齢患者さんが増えていくことが予測され、認知症のある患者さんへの適切な対応方法を学ぶことは、急性期や救命救急の場で働く看護師も避けては通れず、他人事ではないことを知っておく必要があります。急性期で受けたやや強引とも思えるような身体拘束が、患者さんの心を傷つけ、その後のリハビリテーション病棟や介護施設でのケア拒否につながるような場合も少なくありません。そしてそのようなケアの結果によって、表情も暗いままとなり、いつまでも他者を受け入れようとしなかったりして、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)を強めてしまうことにもなりかねないのです。 そこで、本書では認知機能の低下が見られる患者さんに対して、医療・看護職がついやってしまいがちな誤った対応や、理解しにくいと感じるような事例を4コマ漫画で親しみやすく示しました。少しオーバーな表現もあるかもしれませんが、病棟では近い光景を目にされているのではないでしょうか。病院で看る認知機能が低下した患者さんへの理解を深め、患者さんの気持ちの捉え方、よりよいコミュニケーション、対応の仕方を解説し、さらには、患者さんの行動が、自分たちに置き換えるとどういう状況でどんな気持ちになるのか、想像できるような内容を含めることを目指しました。 認知機能が低下した患者さんの気持ちに沿ったケアの実現を、皆さんと一緒に考えていきたいと願っています。2020年10月堀内 ふきはじめに

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