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心臓は、ご存じの通り収縮する際に電気を発します。とても小さな電気ですが、この電気信号を電極によって体表面から測定し、増幅して表示したのが心電図です。最近はモニタの精度が良くなってきたので、「電極を貼りさえすれば心電図が出る」という感覚があるスタッフも少なくないでしょう。しかし、正確な心拍数を測定するには、大きくてきれいな心電図を表示する必要があります。患者さんの心電図をモニタする一番の目的は、心拍数から徐脈や頻脈をいち早く発見することです。では、この心拍数はどのように数えるのでしょうか? 心室が収縮するときに発する一番大きい波である「R波」から測定しているのです(図1-1)。60秒をR波とR波との間隔(t秒)で割った値(60/t)が1分間の心拍数ですから、例えばR波とR波の間が0.5秒だったとすると、60/0.5=120で、心拍数は1分間当たり120回となります。みなさんが毎日見ているモニタに表示される心拍数は、「瞬時心拍数」ですか? それとも「平均心拍数」ですか?瞬時心拍数は、R波とR波との間隔を1拍ごとに計算して表示します。1拍ごとですから、患者さんの心拍数の変化がほぼリアルタイムに判断できます。よって、徐脈や頻脈の警報も早く作動します。一方、平均心拍数には、数秒間(約3〜6秒)の心拍を平均化して表示する方法と、数拍(約6〜8拍)の心拍を平均化して表示する方法とがあります。いずれも平均値であるために、患者さんの心拍数が低下しても、モニタの値はゆっくりとしか低下しません。ですから、警報が作動するまでに時間を要してしまいます。平均化する方法でも、移動平均という方法を採用しているモニタもあります。時間で平均化するモニタで、例えば5秒の平均で表示しているとすると、5秒間の平均値を表示した後に、心電図モニタの使い方と読み取りのコツ心臓は電気を発している!?心電図をモニタする目的は?心拍数の表示方法はみんな同じ?Q心房放電心室放電PRST心房充電心室充電心房充電による波形は心室放電のR波に隠れていて、通常は見えない図1-1 正常な心電図111心拍・呼吸モニタ第1章 モニタリングのための機器

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