第1章新生児看護の特徴9はじめてのNICU看護●新生児の心筋は未熟なため,最高血圧は約60~80mmHgで心拍出量も少ない状態です.そのため心拍数は1分間に120~140回で成人より速くなります.●出生後,胎児循環から成人の循環へと変化します.●動脈管はほとんどの新生児が生後72時間以内に閉鎖します.循 環●出生直後の新生児は赤血球数が多く約600万/μL前後で,赤血球の多くが寿命の短い胎児赤血球のため溶血し,ビリルビンが多量に排泄されます.●生後2~3日より肉眼的に黄疸が出現し,生後4~5日頃にピークとなり,生後7~10日頃に自然に消失します.これを生理的黄疸といいます.黄 疸●新陳代謝が盛んで成人よりも体温は高く,腋窩温は36.5~37.5℃,直腸温ではそれより0.5℃ほど高くなっています.●体温調節機能は未熟で,環境の影響を受けやすい状態にあります.体 温●水分量は,成人が体重の約60%であるのに対し,体重の75~85%を占めています.●出生後の細胞外液中の間質液が尿や不感蒸泄として排泄され,生後2~3日までに出生体重の5~10%が減少します.これは哺乳量が増えてくると出生体重に戻ります.体液生理●新生児の胃は成人に比べると縦形で,噴門部近くの食道括約筋が弱く,そのため胃内容物が逆流しやすくなっています.●経口で乳汁を摂取するには嚥下・吸きゅうてつ啜・呼吸運動の協調が必要で,在胎32週以降になって可能になります.栄 養新生児成 人
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