……… 2 ……… 今までNICUに入院してくる赤ちゃんたちの写真を3万枚以上撮りためて、疾患別にファイリングしてきましたが、その中でいろいろ気づくことがありました。この本は、通常の医学書には書かれていないような、筆者自身が新たに発見した所見、穴場的な情報も盛り込みながら創った写真集です。視覚的なイメージは頭に入りやすく、病態を実体験するとさらに記憶にも残りやすいと思うので、楽しみながらこの本に目を通して、現場でもご活用ください。話し言葉でわかりやすく解説したこの本は、医学書というより挿絵入りの物語を読むイメージで書きあげました。一読すればきっと赤ちゃんを見る目が変わってくることと思います。この本の目標とするところ 見る側の意識によって「異常があっても気づかない」ことはよくあります。そんな「赤ちゃんを見るときの意識を高める」 「赤ちゃんの微細な変化を見つける眼を養う」ことが本書の目的です。医学知識のレベルによって診方の鋭さが違ってくることも事実ですが、この本を読んで、「今日の○○ちゃんは、他の子とどこか違う。昨日までとは微妙に違う」「何となくおかしい」「ちょっと危険かも?」と思えるようになってくれれば大成功です。異常に気づけば、あとは医師と相談しながら病態を考えていけばいいので、「できるだけ早く、赤ちゃんの微細な違いや変化に気づくこと!」これが大きな第一歩です。 この「違いと変化」(他の子との違いとその子自身の変化)をいつも意識してみましょう。意識し続けると、今まで見えなかった姿がだんだん見えるようになってきますし、そのちょっとした発見が楽しさと自信に、さらには経験の蓄積となって身についていきます。 「現在の異常」に気づいたら「過去を振り返る」。よく見つめ直すと意外な発見がありますし、その発見が次へとつながっていきます。振り返ってみると、「悪化する前兆のサインがこれだった!」と気づくこともしばしばあります。ここから、さらにステップアップを遂げるためには、「その先を予測」してみましょう。過去を振り返りながら現在を診ると、未来が見えてきます。「現在・過去・未来」、これをワンセットにして経験を積んでいけば、赤ちゃんに対する観察力を飛躍的に高める!ことができます。「現在・過去・未来」を意識し突き詰めていけば、見ただけで現時点での血液検査の結果やレントゲン所見を予想し、その後の病状や検査所見の推移まで予測することも可能となります。この本を読んだことをきっかけに、先を読んで動けるような「予測の達人」を目指して頑張りましょう!はじめに
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