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……… 3 ………記憶に残る写真集を目指して この本の一番ユニークな点は、「観察するためにはライト選びが重要」という観点から、照明の基礎知識も学びながら、赤ちゃんの診方について解説したことです。次に「出生直後の赤ちゃんを体験」しながら、診察の流れに沿って新生児の診方のポイントについて説明しました。出生直後に一番重要な呼吸から始まり、実際の赤ちゃんをイメージしながら読み進められるように工夫しました。 よく目を凝らしてみると、赤ちゃんには不思議なところがたくさんあります。そんな素朴な疑問も含めてミニ知識を書き加えました。説明を読みながら、写真を眺めながら、自分なりに考えてみましょう。満期(正期産)に近い早産児では胎脂が体にたくさん付着しているのに、予定日近くなってくる頃には胎脂がなくなっているのはなぜ? 対光反射を見るために瞼を開けようとしても新生児では難しいのはなぜ? 新生児の産毛って濃いように思うけど何か意味があるの? Moro反射って何のためにあるの? などなど……。「読むだけでなく、自分で考える」そのプロセスによって、脳内のシナプス回路が強化され、記憶にも残りやすくなりますので、是非チャレンジしてみてください。 本書ではご家族の了承を得た上で、なるべく赤ちゃんの表情がわかるような写真を掲載しました。特に、眼を覆い隠してしまうと赤ちゃんの細やかな表情もわかりにくくなりますし、何と言っても世界語にもなってきた “Kawaii” 赤ちゃん、その表情を見ると読む気が出てきます。赤ちゃんを観察するときに、表情の変化をとらえることはとても重要です。表情の変化について具体的に写真で提示してある医学書はほとんど皆無だと思います。大人でも徹夜明けは目にクマができたり、疲れた顔になりますが、赤ちゃんにも同じことが言えます。眼で、表情で、体全体で訴えている赤ちゃんをよく観察して、その訴えを見つけてあげましょう。  2019年11月田中太平

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