002はじめに日本の赤ちゃんや子どものための医療は急速に発展し、世界でも最も低い死亡数になっています(2014〔平成26〕年に出生した1,000人の赤ちゃんあたり1カ月以内の死亡数は1人、1歳未満の死亡数は2人となっています)。その結果として、新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit:以下、NICU)や小児集中治療室(Pediatric Intensive Care Unit:以下、PICU)で救命されて、人工呼吸管理や気管切開、経管栄養などの医療的ケアを必要としたまま退院する子どもが急速に増えています(図)。また、小中学校で人工呼吸管理を必要とする子どもも、2011(平成23)年には850人だったものが、2013(平成25)年には1,270人と急増しています。2016年の全国の在宅の医療的ケア児数は18,272人、人工呼吸器児数は3,483人とそれぞれ10年前の3倍、10倍でした。介護保険が適用される高齢者の在宅医療では、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションや訪問介護事業所、訪問リハビリテーションや日中一時支援所などの支援施設も少なくありませんし、そうした医療施設や福祉機関、市町村担当部署を連携してくれるケアマネジャーによって、在宅医療は大きな支障なしに維持されることが多いと思います。しかし、在宅医療を必要とする小児の場合は、介護保険が適用されず、成人を対象とした医療施設や福祉機関も、高度の医療ケアには慣れておらず、ケアマネジャーもいないために敬遠され0100200300400500人2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年■全国推計長期入院児 ■全国推計人工呼吸管理退院(入院期間1年未満)児199.533.6227.831.7258.832.6212.339.1174.955.8165.482.7207.390.4251.4142.6261.6149.5青色の棒グラフは、その年に生まれてNICUに1年以上入院していた赤ちゃんの数です。赤色の棒グラフは、その年に生まれてNICUから1年以内に人工呼吸器をつけたまま退院していった赤ちゃんの数です。人工呼吸器をつけたまま退院していった赤ちゃんが、2008(平成20)年以降、右肩上がりに急増していることがわかります。 図 2004年出生児からの長期入院児と退院時人工呼吸器管理児の推定全国推移1,2)
元のページ ../index.html#2