302280510
8/12

020*肺や気道の成長新生児期から、乳児・幼児期、学童期から成人期にわたって、肺や気道のおもな解剖学的・生理学的特徴を表1で述べます。胎児期~新生児期にかけて、肺・気道の発育は5段階に分かれています(右図)。肺容量、肺胞表面の面積と肺胞の数は、在胎期間と頭とう殿でん長ちょう(頭からお尻までの長さ)が増加するのと同時に、急激に増加します。満期、すなわち、在胎40週で生まれた赤ちゃんでも、ようやく右図の5段階目の肺胞期に差しかかったところで生まれますので、非常に未熟な状態で生まれるといえます。 出生後も肺や気道は年齢に応じて成長していきます(表2)。解剖学的に肺胞の数、気道の数が成人とほぼ同等になるのは8歳くらいです。しかし、実際のガス交換の機能は、8歳ではまだ成人の半分以下です。肺や気道の機能は20歳代をピークに下がっていきます。加齢に伴う呼吸数の変化は表3の通りです。表1  新生児期から成人期の肺・気道の解剖学的・生理学的特徴解剖学的・生理学的特徴新生児乳児・幼児学 童成 人問題点肺・気道の成長(p21図・表2)子どもは低年齢ほど、肺・気道が脆弱である呼吸数(表3)4030〜2215〜22低年齢ほど、呼吸障害があると呼吸が追いつかないサーファクタント不足(早産児)早産児肺がつぶれやすく、呼吸をするのに大きな力が必要酸素解離曲線は左に偏位(p22上図)同じSpO2でも、実際の酸素分圧は低いHypoxicdepression高炭酸ガス・低酸素で呼吸をしない鼻呼吸鼻閉により呼吸困難となる気道の広さ・舌の大きさ狭・大広・小感染などの浮腫で容易に気道狭きょう窄さく・閉塞が起こる肋骨の椎体に対する角度(p22下図)水平角度あり1回の呼吸で得られる換気量が、低年齢になるほど少ない代謝が活発 活発呼吸障害があると、呼吸努力が追いつかなくなる呼吸筋のⅠ型筋きん原げん線せん維い少多低年齢では呼吸筋疲労を起こしやすいKohn孔こうの数少多肺炎の広がりを抑える反面、空気が漏れやすい咽いん頭とう受容体反射(p23上図)強弱口の中の吸引をしすぎると、呼吸が抑制される気道のつぶれやすさ(p24上図)少            多気道軟化症による狭窄、閉塞扁へん桃とう肥大(p23下図)最大閉塞型無呼吸になりやすい。扁へん桃とう腺せん炎を繰り返す気管感染入退院を繰り返す原因となる気道の肉にく芽げ(p25上図)気管からの出血、気道の狭きょう窄さく・閉塞を来す胃い食しょく道どう逆ぎゃく流りゅう症(p25中図)飲食物の気管への垂れ込み・誤ご嚥えん・肺炎嚥えん下げ協調障害少多唾だ液えきの気管への垂れ込み・食物の気管への誤嚥・肺炎脊椎の彎わん曲きょく(p25下図)少多気管の圧迫腕頭動脈瘻ろう少多気管内への致死的な動脈性出血考えかた1章呼吸ケアケアする前におさえておきたい子どもの特徴

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る