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キーワード252呼吸器症状検査とモニタリング1努力呼吸が見られる時には何が起こっていますか?2努力呼吸の種類と病態生理多呼吸 呼吸数が60回/分以上を多呼吸と定義する。生直後は、一時的に多呼吸が見られることがあるが、生後1時間以上経過しても残存する場合には、病的であると考えて対応する必要がある1)。呼吸器疾患が原因の場合には、換気不全に対して分時換気量を維持するために多呼吸を呈する病態が考えられる。呼吸器疾患以外に、肺血流増加型先天性心疾患や総肺静脈還流異常による肺うっ血の場合にも多呼吸が見られる。さらに、動脈管依存性心疾患のductalショックや先天性代謝異常症による代謝性アシドーシスを呼吸性に代償する場合にも多呼吸が見られる。30陥没呼吸 吸気時に肋間、胸骨上窩、剣状突起下などが陥没する呼吸を指す。肺のコンプライアンスが胸郭のコンプライアンスより低い場合に見られる。18, 20, 118 新生児、特に早産児の場合には、胸郭が軟らかい、つまりコンプライアンスが高いため、病的でない場合にも軽度の陥没呼吸が見られることがある。しかし、ほかの努力呼吸や中心性チアノーゼを伴う場合には病的であると判断する必要がある。呻 吟 肺胞の虚脱を防ぐために、呼気時に声門を閉めて、気道内を陽圧に保つ呼吸である。臨床的には、呼気時にウー、ウーと唸るような音声を伴う。鼻翼呼吸 吸気時に鼻翼が広がる呼吸である。鼻腔を拡大させて吸気量を増加させる。生後早期では肺容量を確保する際に見られることがあるが、その場合は数分のうちに消失する1)。持続する場合には、病的であると判断する必要がある。その場合には、通常、鼻翼呼吸に加えてほかの努力呼吸も伴っている。何が起こっているのか? 実際の臨床では、前述の努力呼吸が個別に見られる症例はむしろ稀で、複数の努力1234努力呼吸多呼吸陥没呼吸

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