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刊行にあたって新生児期は胎盤呼吸をしていた胎児期から肺呼吸が確立した乳児期への適応の時期に相当するため、さまざまな理由により呼吸障害を呈します。そのため、新生児呼吸管理は、早産児を含む新生児の診療を行う際に避けて通れない課題と言えます。しかし、新生児は呼吸障害の種類が多様で、使用する材料や機器も特殊なものが多いため、新生児呼吸管理の学習には大きな努力が必要となります。そこで、新生児呼吸管理を効率よく学ぶためのツールとして、2010年に『新生児呼吸管理なるほどQ & A』をNeonatal Care誌の増刊号として発刊いたしました。この増刊号では、「違いが分かる」ことに着目し、幸いにも読者の皆様より好評をいただきました。しかし、新生児医療、特に呼吸管理の分野の進歩はめざましく、2010年当時には存在しなかった新しい治療概念、薬剤、医療機器が次々と登場してまいりました。本書は、増刊号の「違いが分かり」、さらには「違いが説明できる」ようになるというコンセプトはそのままに、最新の知見を元に全項目を再検討・再構築したものです。著者の皆様には、各分野のエキスパートだからこそ可能な分かりやすい解説をしていただきました。しかし、最新の技術の中には、未だ標準的な治療として認められていないものや、実践するためには非常に高い専門性を求められるものもあります。今回これらの専門性の高い内容については「匠限定」というコラムに記載していただきました。「匠限定」を避けて読んでいただいても十分な学習ができます。また、「匠限定」だけ読み進むのもエキスパートの皆様には面白く感じられるかもしれません。本書では、キーワード検索や「このQを読んだ人はこんなQも読んでいる」というQナビゲーション機能を活用することができます。さらに、巻末には新生児呼吸管理略語集と新生児用/在宅用人工呼吸器機種別仕様表および総索引を設けています。自分に合ったQからナビゲーションに従って次のQに進むのも、キーワード検索や総索引から必要な自分に必要なQを探すのも、もちろん最初から読み進むのも自由です。本書が、NICUに勤務するナースや研修医のみならず、指導ナースや指導医、あるいは新生児用医療機器を取り扱う臨床工学技士や医療機器メーカーの皆様など、さまざまな職種の方にご活用いただければ有り難く存じます。2017年4月北海道大学病院周産母子センター診療教授 長 和俊

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