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●7●1章こどもの糖尿病のきほん2尿糖=糖尿病ではない 尿糖がみられるのは、決して糖尿病だけではありません。最も頻度が高く、学校検尿の尿糖陽性者でも最も数が多いのは、“腎じん性せい糖とう尿にょう”です。そのほか先天的あるいは後天的な尿細管の障害でも尿糖の排泄を認め、ファンコニー症候群は尿糖だけではなく、たんぱく尿(汎アミノ酸尿)も認める代表疾患です。3高血糖はどうしておこるの? 一般にわたしたちのからだで必要なエネルギーの多くは、糖すなわちブドウ糖から供給されます。ブドウ糖は単糖類ですが、ブドウ糖がいくつか集合した多糖類はグリコーゲンと呼ばれ、肝臓に蓄積されています。わたしたちがエネルギーを必要とするときには、このグリコーゲンがブドウ糖に分解され(解糖)、筋肉や脂肪などの末梢組織で利用されます。このときに必要なのが膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンです。β細胞から分泌されるインスリンが不足している場合、あるいは末梢組織でインスリンがうまく利用されない場合に、高血糖になります。腎性糖尿は、糖尿病でも腎臓の病気でもありません。尿糖量には個人差がありますが、ほとんど無症状であり、治療や管理の必要はありません。腎性糖尿 体質的に尿細管からの糖の再吸収が不十分なため、血液中の糖が正常な量であっても、再吸収されなかったブドウ糖が尿中に認められるもの 家族性であることが多く、尿細管にだけあるSGLT2という、ブドウ糖を細胞内に取り込むたんぱく質(担送体)のはたらきが遺伝的に弱いために、尿糖が排泄されるものと理解されている腎性糖尿糖尿病尿中尿酸値高い血液中血糖値高い尿中尿酸値高い血液中血糖値低いSGLT2のはたらきが弱いため、あまり再吸収されないブドウ糖の再吸収インスリンのはたらきと高血糖肝臓膵臓インスリンブドウ糖グリコーゲン脂肪細胞筋肉脳

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