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●8●4高血糖が続くとどうなるの? 高血糖が長期間続く状態を“糖尿病”と呼んでいますが、エネルギーが各器官に運ばれず、利用できなくなると、糖代謝だけでなくたんぱく質や脂肪の代謝にも支障が生じます。そして、ブドウ糖からのエネルギー補給ができなくなると、脂肪からエネルギーを得る機構がはたらき、血中の遊ゆう離り脂し肪ぼう酸さん濃のう度どが高くなりその代謝産物としてケトン体が産生されます。ケトン体はからだに有害な作用をもたらし、過剰に産生されるとケトアシドーシスになります。 また、筋組織からのたんぱく質によるエネルギー補給は、たんぱく質異化と表現され、血中の尿にょう素そ窒ちっ素その上昇がみられ、これもからだに有害な作用を示します。エネルギーのつくり方ブドウ糖筋組織たんぱく質異化脂肪遊離脂肪酸↑有害ケトン体↑尿素窒素↑ケトアシドーシスって ケトン体はアセトン体、3-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸の集合体です。尿中のケトン体の有無(定性反応)をみる場合にはアセト酢酸の存在を確認し、血中のケトン体濃度をみる場合には3-ヒドロキシ酪酸の濃度を測定します。いずれも医療施設のみならず自宅での測定も可能です。 血中でのケトン体の産生が促進されると血液は酸性に傾きます。これを酸さん血けつ症しょう(アシドーシス)といい、結果として血中の重炭酸が代償として消費されるので(代謝性アシドーシス)、重炭酸イオンの低下をもって重症度が判定されます。この状態は“糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)”として知られています。高度な糖尿病性ケトアシドーシスでは、腹痛、嘔吐などの消化器症状のほか、神経症状として、意識の混濁や昏睡を示し、生命的にも危険な状態です。
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