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191章 NICU看護の基本知識児の権利を擁護するためには、児が家族の一員として迎えられることが不可欠であり、家族に寄り添い、家族の葛藤や奮闘を理解し、日々の関わりを通じて児の反応を共有することでその支援をする。出生前から産科スタッフと情報共有し、ペリネイタルビジットに同席して家族の思いや児の疾患の受け止め方を把握しておくことは、入院早期からの支援に役立つ。■児の置かれた状態を知り、児を尊重した結果としての「児の最善」を最終的に決断するのは家族である(代理意思決定)。児の問題を家族全体の問題として家族が受け止め、自律的、主体的に児の最善を考えられるように、家族内での話し合いを支援する一方で、家族のパートナーとして退院後も継続的にサポートし、ともに歩む姿勢が医療者にとって大切である。■きょうだいは、両親と過ごす時間の変化や両親の関心がNICU入院児に向けられる体験の原因が自分にあると捉え、罪責感や不安感を抱きやすい。両親がきょうだいにも関心を向けられるように、きょうだい支援も必要である。NICUにおけるインフォームドコンセントの重要性■NICU入院児は人工呼吸管理などの集中管理や緊急手術を要する重症児が多く、病状が急激に変化することもまれでない。■新生児は意思表示ができないため、家族が児にとっての最善を追求した治療方針を決定できるように、病状や治療方針をわかりやすく説明する必要がある。■生後早期で親子関係が十分に形成されていない場合や、仮死出生や先天異常など突然の予期せぬ事態に対して家族が混乱している場合もあるため、家族の心理状態に配慮した説明をする必要がある。■インフォームドコンセントを得る際には、話し合いに集中できるようオープンフロアではなく静かな別室で行うように心掛ける。また家族が質問や意見を表出しやすいように、医療者側の人数や話し方にも配慮が必要である。

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