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122.胎児は常に発育途中です! 健診を行う時、まず正常を知らなければ、異常を診断できません。胎児は常に発育・成熟している途中であることを考えておかなければなりません。内臓の形状や胎動などは、発育に従って変化します。また、同じ週数でも次第に胎児ごとに発育に差を生じます。これは正常範囲内の差のこともあれば、異常なほどの差であることもあります。何週でどういう状態であれば正常、この週数でこの状態は異常など、週数によって正常を見極め、判断していかなければならないこともあります。3.いつも見たいものが見えるとは限らない! 同じ週数であっても、いつも同じように見えるとは限りません。胎児は常に子宮の中で動き回っています。例えば健診時に腹部を観察したいのに、たまたま児背が母体の腹壁寄りで、いわゆるうつ伏せの状態で観察できないということもあります。そういう時は、p.16のImage 2のようにプローブの角度を少し変えて観察してみることもコツの一つです。それでも観察不能なら無理に時間をかけて計測・観察しようとせず、いったん休憩をとる、それでも観察不能の場合には次回健診時にもう一度観察することをお勧めします。4.何よりも母体に気をつかって! どうしても超音波検査に時間がかかってしまうことがあります。見ようという気持ちが強くなると、知らないうちに時間が経過していることもあるでしょう。通常、超音波検査施行中は仰臥位であるため、長時間そのまま検査を行うと仰臥位低血圧症候群を起こして母体に気分不快が生じたり、胎児徐脈の原因になったりします。また、プローブによる腹部への機械的な反復する刺激や腹部露出による寒冷刺激で子宮収縮を誘発してしまうことがあります。仰臥位低血圧症候群の予防には、母体の腰や背中に枕を入れてやや斜めにしたり、室温を上げて体温低下予防に努めたりすることも大切です。基本として、何か不快なことがあれば休憩もしくは中断し、なるべく母体に負担をかけないように心がけましょう。1.ベッドと超音波診断装置の配置 図1-3は私の配置です。妊婦の頭側・左手側に超音波診断装置を配置し、左手でプローブを、右手で超音波診断装置を操作し計測しています。通常は、ベッドと超音波診断装置は私とは左右逆に配置し、右手でプローブを、左手で超音波診断装置を操作する人が多いようです。検査の基本これは、自分の操作しやすい配置でよいと思います。妊婦の足側に超音波診断装置を置いて見る方法もあります。私は妊婦の顔(表情)と画面を同時に見ることができ、右手で装置を操作できるこの配置が好きです。 胎児超音波では、他科の超音波検査とは異なり、母体のお腹の中で胎児がどの向きに位置し

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