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2はじめに 急変への初期対応にあたり,常に優先されるのは生命を守ることである.生命徴候が安定した状態なのか,不安定な状態なのかを常に意識して観察を行い,不安定な状態だと判断すれば直ちに初期治療介入を行って生命徴候の安定化を図る.母体の急変といえば出血性ショックを思い浮かべやすいが,ショック以外にも呼吸不全や意識障害,麻痺症状なども急変の初期症状として重要である.急変時の病勢の進行は病態や症例によりさまざまで,安定した状態から急速に病状が悪化することも稀ではない.そのため一度の観察で安心することなく,繰り返し経時的に生命徴候を評価していかなければならない.初期治療介入も実施しただけで満足せず,その治療効果を判定するためにも繰り返し生命徴候を評価する(図1). 生命徴候が安定している,もしくは安定化させることができた後に考えるべきことは,身体機能の温存である.一時的に身体機能に障害の症状が出ていても,疾患によっては適切な治療を行うことでその機能を回復し,温存することができる.ただし,生命は機能に優先するということは常に念頭に置く必要がある.母体急変時に守るべき生命は母児の生命であり,そして守るべき機能としては母体の妊孕性の維持と母児の身体機能である. 産科医療施設で急変が生じた場合に問題になるのは医療スタッフの人数や資器材・薬剤の準急変対応のABC図1 繰り返し生命徴候を評価する常に再評価治療効果判定反応ABC/バイタルサインで状態評価初期治療介入並行して原因検索急変!安 定不安定

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