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18 ペリネとはなにかという問いに対して欠かせないのが、解剖的な整理をすることです。ペリネとは、すなわち骨盤下部にある複雑な筋肉群全体をさします。一般的な解剖図ではひどくわかりづらい交差した筋肉として描かれています。せいぜいわかっていることといえば、この部分に尿や便の排泄、性機能、女性では分娩などを可能にするための開口部があるという程度のことであり、泌尿器科や婦人科、消化器外科などを専攻する医学生でさえ、この筋肉の集合体からなる構造物の分析は格別に難しいことです。純粋な解剖学手引書にしても専門家の学会の中にしても、「平面的な」ペリネの解剖図は詳しく説明されることのないまま変わらず提示されています。興味深いことに、「機能」解剖学、つまり動きに焦点を当てた解剖学の書物でさえ、この非常に重要な筋肉の集合体については長い間おろそかにされてきました。たとえば、人体のあらゆる筋肉の動きとその作用を記したカパンジー医師の名著『関節の生理学』1)には、2007年に至るまでペリネに関する記述はありませんでした。カパンジー医師がその欠落に気づき、女性と男性のペリネについて記述を加え、排便、勃起、分娩を図式化したのは、腹筋群に関して私とカパンジー医師との出会いが実現してからあとのことです。ブランディン・カレ・ジャーメン女史との間でも同じことがありました。人体の動きすべてを見事に描写した全2巻からなるその著書『動きの解剖学』に、ペリネのことは何も書かれていません。1995年になってから──すなわち、私が尿失禁と分娩に関する医学博士論文2)をまとめその公開口頭審査が行われ、さらに私が『女性のペリネ』というビデオを制作しそれが世に出たのちに──ようやく彼女は、ペリネの諸機能のうち、特に排便と出産を通して丸ごと一冊女性のペリネのことを紹介した本3)を書いたのです。残念ながら、その豊かな描写をもってしても、ペリネの動きや筋肉の収縮、弛緩能力などを視覚的にイメージすることは容易ではありません。こうした理由から、1984年という、当時の考え方としてはあまりにも時期尚早であった時代に私は、ペリネの機能を理解してもらう唯一の手段は生身で動きのあるものを提示することだと考え、『女性のペリネ、臓器脱予防の諸因子』4)と題したビデオを制作しました(臓器脱とは臓器の下降のこと)。この映像記録では、若い妊婦がペリネの筋肉の収縮や弛緩について学ぶ姿を紹介しています。それまで未知の部分であったペリネに対して、バイオフィードバック法(ペリネのリハビリのひとつ)で筋肉の動きをチェックしつつ、姿勢や腰椎の反り返り、長年おろそかにされてきた筋肉の集合体11) Kapandji, AL. Physiologie articulaire. Paris, Vigot-Maloine, 1980 et 1989.2) De Gasquet, B. L’incontinence urinaire d’effort chez les multigestes : Constats et proposition de prévention en pre, per, et post-partum. Doctrat en Médecine, Bobigny, Faculté de médecine de Bobigny, 1993, 90p.3) Calais-Germain, B. Le périnée féminin. Gap, Déslris, 2000.4) De Gasquet, B. Le périnée féminin-Eléments de prévention des prolapsus. Paris, S.E.C.I, vidéocassette 31min, 1984.
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