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20ペリネの機能を理解するために、次のような2つの問いとともに、ペリネの解剖から話を始めたいと思います。1つ目は、ペリネはなんのためにあるのか? 2つ目は、ペリネはどのように働くのか? 問いをたてると、さらなる疑問が湧いてきます。ペリネがうまく機能しないとどんなことが起こるのか? ペリネの機能不全の原因とは? 機能不全を予防したり、それを回避したり、その発生を最小限にすることはできるのか? それは修復可能なのか? いろいろな時期のリスク管理で冒される誤りにはどんなものがあるのか? なにが原因でペリネは大きなダメージを被るのか? もっとよい行動はとれるのか?ペリネの働きについて、平凡で率直かつ誰にでもわかるような言い方をしたいなら、ごく簡単に「おしっこ、うんち、おなら」を出したいときに出し、出したくないときにはそれをこらえられるようにするところとなるでしょう。医学的な言葉でいえば、ペリネは排尿、排便、禁制の機能を果たす部分ということになります。この筋肉は性機能にも関わっており、生殖機能と直接結びついています。なぜなら、「自然な」受胎は射精と腟受容を経て起こり、「自然な」出産は腟を産道としているからです。女性の場合、ペリネは赤ちゃんの出入り口というわけです。今あげたものは機能としては明確です。生殖機能とは別に、ペリネは性器(ペニス、クリトリス、腟)あるいは肛門に関係する部分で、広い意味での性に対して開かれた部分でもあります。時に性衝動は生殖から切り離され、子どもも含め、マスターベーションの例のように交尾以外の官能性とひとくくりにされたりもします。残りのもっと複雑な機能として、諸臓器を支持する働きがありますが、それは立位の状態でペリネが内臓の「下」に位置しているからです。その状態で、容器を定位置にとどめたまま内容物だけを外に排泄するという、メカニズムとしては非常に込み入ったものとなっています。膀胱もしかり、直腸や子宮もそうですが、そうした臓器には尿や便や胎児と一緒に臓器自体が外に排出されないよう、中身だけを空にすることが要求されるわけです。とりわけ重力のかかる環境でそれを実現するとなれば、高性能な機能が必要です。一方、垂直位でのペリネの位置そのものによって、ペリネには抵抗の機能が課されることになります。1865年にペナール産科医は分娩をテーマに次のようなことを記しています。「ペリネの複雑な筋肉構造には究極の目的がある。それは、女性自身が自分でも気づかぬ間に子どもを産み落とすような事態を避けることにある」と。確かに少しショッキングなものの見方ですが、それでも、ペリネが担う「閉鎖」という役割を強調した点では優れているといえます。四足歩行の哺乳動物の場合、ペリネの筋肉に支持機能はなく、そのため機能も驚くほどシンプルです。ペリネはなんの役に立つのか?2
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