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5教育編1……1早わかり成人教育3なぜシミュレーションを用いるのか1)現場で「実行」するための学習方法 学習の機会を設けるとき,主催者の負担が少なく,1回の機会でより多くの受講者を迎えられるのは,講義形式です.講師1人に対して数百人もの受講者を迎えることも可能です.でも思い出してください.わたしたちの大きな目標は,実際の現場での行動を変えることです.講義形式で行動化・習慣化は身につくでしょうか? そう,講義形式では「知識」を身につけることが中心になってしまいます.内容をうまく組み立てることにより,単に「思い出す」レベルではなく「問題解決」レベルまで話を深めることは可能ですが,「スキル」を身につけ,行動化するところまでは難しいかもしれません. ここで,有名な学習ピラミッドを見てみましょう(図3).これは学習機会から6週間後に,学習した内容がどれくらい記憶に残っているかについて模式化したものです.一般的な講演会は講義形式に分類されますが,講義形式で受動的に話を聞いただけでは,6週間後にはその内容は5%しか残っていません.講義に自習を組み合わせると,記憶に残る割合は少し増えて10%になります.講義に視聴覚教材を組み合わせると,それが20%になります.視聴覚教材には動画のほか,写真やグラフを使ったスライドなども活用することもできるでしょう.事前に工夫して準備することで,5%を20%にまで増やすことができます. ここにレポート作成を加えたのが,大学教育などで伝統的に行われてきた講義方法ですが,6週間後に記憶に残る割合は30%にとどまります.これに対し,近年では討論を用いる授業も増えています.討論を行うと,6週間後に記憶に残る割合は50%になります.ただ討論を行うには,討論するスペースが必要になるのと同時に,グループごとに進行を見守る指導者が必要になり,講義形式よりも会場や指導者の面で負担が増えます.3なぜシミュレーションを用いるのか6週間後に記憶に残る割合伝統的学習法 学習方法 5%……………………講義 10%……………………自習 20%………………視聴覚教材 30%…………………レポート 50%……………………討論 75%……………………実習 90%………………人に教える学習ピラミッド:6週間後に記憶に残る割合図3

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