2411切迫早産様症状が認められるケーススタディ 検査はこう活用しよう!8Casestudy 子宮口からの出血は切迫早産が進行しても、早剝でも認められる。ただし、凝血塊を認める場合は早剝を強く疑う。また分娩が進行中の症例では、通常より出血が多い場合は早剝を疑う。 超音波検査は、早剝を早期診断する一助になる。図のように、胎盤後面に血腫を認めるようであれば確定診断に至る。ただし、早剝の診断に熟練した医師でなければ、画像だけで早剝と診断できない場合も多い。 早剝を疑う 早剝は早期であれば必ずしも胎児機能不全を伴わない。切迫早産でも陣痛でも、今までの規則的な「痛み」以外の痛みを訴えた場合は、常に念頭に置く。痛みの間欠期に本当に子宮が柔らかくなるのか、それとも「板状硬」なのかは、日ごろから妊婦のお腹を触る経験を積み重ねることで感覚が研ぎ澄まされる。早剝診断後の流れ 早剝と診断されれば、胎児心拍数パターンが正常波形であれ、異常波形であれ、急速遂娩が必要である。子宮口全開大でなければ緊急帝王切開が必要で、手術のための人員確保が急務である。 早剝は、産科DICスコアの基礎疾患として取り上げられており、播種性血管内凝固(DIC)を合併する可能性が高い。そのため、早剝と診断されれば直ちに凝固・線溶系の血液検査を行う(第4章 p.140参照)。その際は今後の輸血の可能性も考慮し、クロスマッチ用の採血も必要である。DICへの進展は時間経過とともに可能性が高くなる。胎児死亡に至っている症例では極めて高い。 帝王切開分娩でも経腟分娩でも、分娩後にDIC型後産期出血を合併することがあり、血腫図早剝の超音波画像
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