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産婦人科の診察と介助はじめに(患者が婦人科治療の第一歩を踏み出すためのサポート)診 察診察の種類問 診●●婦人科では,月経歴,月経の状態,性交歴,妊娠・出産歴,ピル服用について確認が必要です.外 診●●視診で外陰部の皮膚や粘膜の確認,触診で腹部の状態,リンパ節腫大の有無などを診ます.腟鏡診●●帯下,腟粘膜,子宮腟部の状態,膀胱瘤や直腸瘤の有無を診ます.内診・直腸診●●子宮の大きさ,形状,硬さ,可動性,圧痛や疼痛誘発の有無を確認します.●●付属器領域の腫瘤の有無やその大きさ,可動性,子宮傍組織の硬さなどを診ます.●●性交歴のない患者など内診できない場合は,直腸診で代用することがあります.この場合は事前の説明が大事です.♥♥産婦人科受診が必要な患者さんにとって,まずもっとも問題なのは,羞恥心を克服するということではないでしょうか.年齢がいくつになっても皆,患者として産婦人科外来の門をくぐるのは辛いものです.子宮がんにおける日本の検診率は30~40%台であり,欧米の検診率70~80%と比べてとても低く,がん検診が一般に浸透していないと言わざるを得ません.産婦人科外来には,羞恥心や辛さを克服しながら来院している患者さんが大勢いるのです.そこで診察を受けて,「ああ,思い切って来てよかった.受診してよかった」と思ってもらえるような外来対応が大事です.適切な外来対応の継続によって,一般女性の産婦人科受診の門戸が大きく開かれていくのではないかと思います.♥♥医師だけの対応では,やはり患者さんの心のケアまでは十分行き届かないところがあります.看護師が同席して問診時の患者さんの反応や態度を観察することで,「それぞれの患者さんがいちばん悩んでいることは何か」「どのような背景があるのか」などの情報を得ることができます.♥♥そして産婦人科の診察には内診があります.初めての内診ではかなりの緊張を伴うでしょう.さらに未成年や性交渉の経験がない人ではどうでしょう.母親とともに来院しているのなら,内診にも同席してもらったほうがよい場合もあるでしょう.徐々に産婦人科に慣れてもらうために,最初は内診をせず,腹部の触診と経腹超音波での対応が可能であるか否かについて検討することも必要です.高齢者,また未経産婦や帝王切開のみでの出産をしている人は腟が狭い場合が多いので,診察に使う腟鏡のサイズも小さなものにするなどの配慮が必要でしょう.♥♥このように,外来は患者さんにとって治療の第一歩を踏み出すとても大事なところです.初診の際の印象が非常に大切なのです.そこで看護師の皆さんの心遣いが活きてくるのです.♥●診察には,問診,外診,腟鏡診,内診・直腸診があります.♥●児童などでは外診と経腹超音波で対応することもあります.ではこの外来診療を乗り越えて,入院してこられた患者さんはどうでしょう.外来の担当医とは違う医師が受け持ち医となる,さらに複数の医師が一緒にインフォームドコンセント(IC)に入る,診察するということがあります.このようなときにも患者さんの緊張がほぐれるように積極的にサポートしていきましょう.患者さんに「受診してよかった!」と思ってもらえるようなサポートをしていきましょう.11はじめての婦人科看護第1章婦人科の特徴と基礎知識

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