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婦人科と婦人科看護婦人科では,幅広い年齢層の女性が,さまざまな精神状態のなか,羞恥心に耐え,恐怖心を克服して,治療を受けに来ます.以下に示した患者と看護の特徴を踏まえながら,本書では現在の当施設(北野病院)看護部の理念である「へだてなく より的確に こまやかに」を大切にした看護の実践を紹介していきます.婦人科疾患における患者の特徴婦人科看護の特徴●●子宮や卵巣,卵管,腟,外陰部など生殖器に関わる疾患が治療対象で,手術,抗がん剤治療,放射線治療,緩和ケアなど,看護も多岐にわたります.●●患者個々の病状や手術,治療についてしっかり把握したうえで専門的な看護ケアの提供を行います.●●精神状態や社会背景を十分に把握し,ライフステージに合わせたケアを提供すること,そして信頼関係を築き,患者が不安感や喪失感を表出できるように関わることが大切です.●●患者の支えとなる家族への支援も大切な役割です.●●婦人科疾患における対象患者は女性のみです.●●初潮を迎えたばかりの10代前半から高齢まで,幅広い年齢層の患者が受診対象となります.●●疾患の状態,年齢,婚姻の有無,妊娠・出産歴の違いなどによって状況は異なりますが,患者は疾患に対して大きな苦痛と不安を抱えています.●●子宮や卵巣などの機能喪失や,生殖器の摘出などによる恐怖,女性としての魅力の減少,劣等感,性生活への不安などを抱えている場合が多くあります.●●疾患の部位が生殖器であるために,プライバシーに関わる問題も少なくありません.●●夫や恋人,子どもたちについての心配もあります.⨋❶患者は女性のみ⨋❷受診する年齢層が幅広い⨋❸疾患に対する苦痛や不安に加えて,生殖器喪失への不安も抱えている⨋❹プライバシーや家族についての問題8はじめての婦人科看護婦人科の特徴と基礎知識
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