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23第1章 主訴別に考える母体急変で見逃せない疾患エマージェンシー臨床推論とは?1さくらさん、すごい! 現場の様子が目に浮かびます! 母体の状態を五感で感じる毎日なんですね! 「臨床推論」というと難しいものに感じるかもしれませんが、「診断に至るすべての思考過程」のこと。妊産婦さんの症状や訴えからどう考えていくのかをわかりやすく解説しますので、皆さんの五感あれば、理解しやすいと思います。早速ですが、症例です。そう、それでいいんです。患者背景は大事ですよね! では次に何を行いますか?肺塞栓症を鑑別に挙げたなら、まずは患者を安静にして、人を呼ぶのが正解です。続いて、バイタルサインを確認します。血圧、脈拍、呼吸数、SpO2を測定しながら大切な症状を確認します。では患者にはまず、何を聞きますか? 「突然の発症」と「持続する呼吸困難」が両方あるなら、肺塞栓症の可能性が上がりますね。酸素投与を開始して、医師をすぐに呼びましょう。しかし、「突然の発症」に加えて「胸痛」「冷汗」があれば、急性心筋梗塞の可能性もあります。この場合は酸素投与を開始して、12誘導心電図を準備しながら、医師を呼ぶことになります。どちらも同じことをしているに見えますが、第一発見者のあなたが「胸の苦しさが、胸痛であること」を聞き取れれば、より早く診断・治療に結び付けることができます。単科の施設であれば、迅速な救急搬送に結び付きます。急変時に確認すべきこの観察項目が、レッドフラッグなのです。レッドフラッグのイメージがつかめたでしょうか?まず、何を考えますか。肺塞栓症だと思います!妊産婦の背景が大事だと、昨日教えたところでした。この症例の場合は、帝王切開術後、3日目、肥満、初回歩行がキーワードですね。症例 30歳、肥満。帝王切開術後3日目で、初回歩行時に胸の苦しさを訴えました。

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