302291010
11/14

9第1章…先天性疾患を知るための遺伝の基礎知識染染染染染染染染染染染染染染染第1章1方はTACGとなるのです。このA、T、G、Cの4種類の塩基の並び方が遺伝情報となります。 細胞が分裂増殖するときは、核の中のDNAも複製され、分裂した細胞のどちらにも配分されます。DNAが複製されるときは、二重らせんがほどけてできた一本鎖のDNAがそれぞれ鋳い型がたとなって新たに相補的なDNAが合成されることから、遺伝情報であるATGCといった塩基配列がそのまま保存されることになります。ヒトのDNAは、この塩基配列がおおよそ31億も並んでいます。すなわち31億塩基対(base pairs;bp)となり、それを全部つなぎ合わせて伸ばすと2メートルにもなるといわれています。 最近のテレビドラマでは、犯罪捜査で「DNA鑑定」といった言葉がよく使われたりするため、DNAはすでに私たちにとって耳慣れた言葉になっているかもしれません。DNAは、タンパク質と比べて化学的に安定した物質であるため、常温で長期間放置されていた遺留品のようなものからも抽出が可能だからです。ただし、熱や酸、アルカリなどには弱いことが知られています。また、強い放射線や化学物質などにより損傷を起こすため、放射線被曝などが問題となることがあります。2.遺伝子とは何だろう DNAが実体をもつ生体物質であるのに対し、遺伝子は私たちの体をつくり出すおおもとの情報、設計図といっていいものです。31億あるといわれるDNAの塩基対の中で、遺伝子は飛図1染色体とDNA染色体は長く連なっているDNAが折りたたまれ、凝縮された構造物。親から子へ遺伝情報を伝える役割をもつ。DNAは右巻きの二重らせん構造をしており、それぞれAとT、GとCは水素結合で結び付き、ペアとなって存在している。ATCGTAGC染色体遺伝子DNA

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る