302291010
12/14

10び飛びに存在していて、全体の2%以下しかないことが分かっています(エクソン)。残りのほとんどのDNAでは同じような配列が繰り返されており(イントロン)、かつてはあまり意味のない部分と考えられていました。しかし、最近の研究では、遺伝子以外の部分のDNAも、遺伝子発現の調整や染色体の構造調整など、さまざまな大切な機能をもっていることが分かってきています。 1990年にヒトのDNAの全塩基配列を決定する「ヒトゲノム計画」と呼ばれる壮大なプロジェクトが、日本を含む6カ国共同で行われました。このプロジェクトは2003年にようやく終了し、これによってヒトの遺伝子はおよそ22,000個あることが分かりました。大腸菌の遺伝子数は4,400個、ハエ(キイロショウジョウバエ)の遺伝子数が15,000個であることに比べると、複雑で高等な機能をもつヒトの遺伝子数の予想外の少なさには、皆が驚かされました。生体機能の複雑さと遺伝子数は必ずしも比例しないということで、遺伝子以外の生体制御機構についての研究が進むきっかけともなっています。 ちなみに、ヒトゲノム計画の「ゲノム」とは、一人の親から受け継ぐDNAの1セットのことをいいます(図2)。すなわち、精子または卵子の中に存在するDNAの全てです。このDNAの1セットは、遺伝子として働く2%の部分だけでなく、全てのDNAを含むものを意味し、ヒトの遺伝情報の最小セットとなります。私たちは父親と母親それぞれから1セットずつゲノムを受け継ぐので、2セットのゲノムをもっています。図2ゲノムとは生物の配偶子(精子と卵子)に含まれる染色体に存在する全DNAの1セットがゲノムである。ヒトはゲノムを2セットもつ。122312231223ゲノムゲノム

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る