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バイタルサインの考え方1 正常値だと患者は正常なの? 異常値はみんな異常なの?A. バイタルサインの異常値と正常値はあいまい 「正常値」と比べて一喜一憂するのは意味がない バイタルサインの正常値は文献や教える人によって微妙に異なります。それはバイタルサインの個人差が大きいためです。バイタルサインが正常範囲でも急変することがあり、異常値でもまったく問題ないこともあります(図1-2)。つまりバイタルサインの正常と異常の境界はかなりあいまいなのです。そのため、正常値はざっくり覚え、正常値より“1上がった”とか“下がった”などで一喜一憂するのは、あまり意味のないことです。 たとえば身体的に健康な精神疾患患者であっても、バイタルサインを追っていくと、ある日(もしくはある時間)は血圧が低めだったり、脈拍が早かったり、酸素飽和度(SpO2)が少し低かったりと、バイタルサインの異常値を示していることがよくあります。でもこのような患者は急変せずに元気です。そのため、異常値のたびに医師にコールをしていたら、看護師の仕事が無駄に増えるだけです。異常値のなかから「本当の異常」を探し出すことが求められることになります。B. ふだんのバイタルサインとの差が大きいときに注意し、複数を組み合わせて考える 大事なことは、「バイタルサインの異常値」を見たら、その患者のふだんのバイタルサインを確認することです。そこから外れているときは、ほかのバイタルサインも確認します。ふだんの血圧が収縮期90mmHg程度の患者が88mmHgになっても、あわてる必要はありません。しかし、ふだん1 全身状態良好な患者全身状態が悪い患者死亡バイタル赤信号(医師に必ずつなぐ④)バイタル黄色信号(注意深く観察して、必要なときに医師につなぐ①~③)バイタル青信号正常悪化いわゆる正常値(表1-1/p.12)病院ごとに定めた医師に報告する基準(表1-2/p.14)図1-2●バイタルサインのイメージ11精神科ならではのバイタルサイン

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