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3 看護学生の皆さんは看護学校の勉強,国家試験の勉強,どのように取り組んでおられますか? 次々に襲ってくる課題や実習,時間が無限にあるわけでなし,何とか頑張って,そしてできればより効率的に勉強したい.手間暇かけるより手っ取り早く覚えきってしまいたい. そんなお気持ちもきっとあるかと思います. とにかく丸暗記で,あいだの理屈など関係なしに猛烈に知識を詰め込んでしまえば,試験にパスするのはおそらく可能です(異論はあるかも知れませんが……). しかし,付け焼刃の丸暗記の勉強ではすぐに知識は抜け落ちてしまいます. ここで心しておいていただきたいのですが,皆さんの看護師としてのキャリアは国家試験合格がゴールではなくスタートです. 今,皆さんが勉強されていることは,これから将来の仕事に必ず役に立ってくるものですし,また役立てるような勉強をしなければなりません. 試験にパスするだけで燃え尽きてしまうような,さびしい勉強はしないでください. 患者さんの体の中で何が起こっているのだろう.なぜこの病気になるとこんな症状が出てくるのだろう.そんなことに想像をめぐらせながら,病気について系統立てて勉強していけば,得た知識は必ず皆さんの血となり肉となります. 『イメージできる病態生理学』という本のタイトルには,そのような願いが込められている.小生はそう考えて編集に携わらせていただきました. 目の前の患者さんの病態を理解し,プロフェッショナルの判断をする.そのための勉強を重ねる.その繰り返しが看護師としてのキャリアアップにつながっていきます. そのためのお役に立てる書でありたい.これから看護師になるための勉強をし,そして看護師になってからも楽しく勉強を続ける,そんな皆さんのおそばにおいていただける書でありたいと願っています. 末筆ではありますが,田舎の病院の一介の勤務医に過ぎない小生に,伝統あるこの書籍の責任編集という大役を与えていただいたメディカ出版編集部の皆様,臨床業務にお忙しい中,協同編集という小生の無理なお願いを快諾してくださった畑啓昭・三枝隆博両先生に心よりお礼申し上げます. この書を手に取ってくださった皆さんが,プロフェッショナルの看護師として輝かしい第一歩を踏み出されることを祈って.編者 ⻆ 謙介 はじめに
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