5〈第103回助産師国家試験〉巻頭に最新回(第103回)の問題を出題順に掲載し、解答と解説を別に示しました。各問題について、難(難問)、普(標準)、易(基礎)の3段階で、難易度を付けています。各問題の解答・解説に、出題基準項目を示しています。〈第99~102回助産師国家試験〉第99~102回の一般問題を助産師国家試験出題基準に従って分類し、解答と解説を付しました。状況設定問題は別の章にまとめ、出題順に掲載しました。各問題には、出題基準項目を表す出題基準コードを示しています。また、難易度を付けています。各問題について試験回数と問題番号を「99-067」のように記しています。これは、第99回の問題67(午前・午後問題の通し番号;午後問題12)を示しています。例基礎助産学Ⅰ 目標ⅡⅠ-Ⅱ-3-A-b科目目標大項目中項目小項目科目コードⅠ:基礎助産学ⅠⅡ:基礎助産学ⅡⅢ:助産診断・技術学ⅠⅣ:助産診断・技術学ⅡⅤ:地域母子保健Ⅵ:助産管理本書の使い方第102回助産師国家試験(午前)問題22【難易度…易】問題1 妊婦の飲酒によって認められる特徴的な胎児異常はどれか。1.小頭症2.白内障3.四肢欠損4.末梢神経障害【難易度…普】問題2 40歳以上を対象とした乳がん検診で推奨される検査はどれか。1.胸部MRI2.穿刺吸引細胞診3.マンモグラフィ4.遺伝性乳癌卵巣癌症候群に関連する遺伝子変異の検査【難易度…普】問題3 妊娠による母体の糖代謝の変化で正しいのはどれか。1.食後血糖値は低下する。2.空腹時血糖値は低下する。3.血中インスリン値は低下する。4.インスリン感受性が亢進する。【難易度…普】問題4 過剰摂取によって胎児の形態異常のリスクが高まるのはどれか。1.鉄2.ビタミンA3.ビタミンB24.n-3系脂肪酸【難易度…易】問題5 陣痛で正しいのはどれか。1.胎盤循環は陣痛周期によらず一定である。2.陣痛発作時間とは産婦が痛みを感じる時間をいう。3.後産期陣痛は胎盤剝離面からの出血の止血に作用する。4.分娩第2期で陣痛間欠4分は平均的な陣痛間欠時間である。【難易度…普】問題6 子宮収縮薬を用いた分娩誘発で正しいのはどれか。1.分娩監視装置は陣痛が発来したら装着する。2.プロスタグランジンF2αの最大投与量は50μg/分である。3.静脈内投与の輸液量の増量は前回増量時から30分以上経過後に行う。4.オキシトシンは10単位を5%ブドウ糖液500mLに溶解して使用する。第102回助産師国家試験 問題午前第102回助産師国家試験(午前)解答・解説50第102回助産師国家試験解答・解説午前妊娠中のアルコール被曝により、流産、死産、先天異常が生じる。アルコールには催奇形性があり、病因としてはエタノールおよびその代謝産物であるアルデヒドが関与し、これらは胎盤を通過し、胎児細胞の増殖や発達を障害する。1.胎児性アルコール症候群の主な症状は、①出生前および出生後の発育遅延、②知的障害、③乳児期の過敏症、④顔面・頭蓋の異常:小頭症、短眼瞼裂、乳児期の下顎後退などである。2.白内障は、先天性心疾患、難聴とともに先天性風疹症候群の三徴である。3.四肢欠損は、サリドマイドなどの催奇形物質が原因で発生する。また、羊膜索症候群では、遊離した羊膜線維がひも状になり胎児組織に絡まったり癒合したりすることにより四肢欠損などがみられる。4.分娩時外傷による末梢神経障害は、分娩麻痺と呼ばれ、主に上腕神経叢麻痺(エルブ麻痺)と顔面神経麻痺がある。 [解答]1.問題1 基礎助産学Ⅱ 目標Ⅰ3 妊娠中の栄養│A 母体の健康と胎児の発育│g 飲酒Ⅱ-Ⅰ-3-A-g102-001乳癌は、女性の悪性腫瘍の罹患率の第1位を占める。日本における発症率は30歳以降上昇し、45~49歳の閉経前にピークがあるのが特徴である。乳癌の家族歴を有するもの、未産婦、高齢産婦、肥満者、アルコール摂取、高脂肪食摂取ではリスクが高い。1.胸部MRIは、乳癌を診断するための最も感度の高い画像診断である。MRIは腫瘍と正常の組織の鑑別、乳房内の腫瘍の広がりを見極めるのに適している。撮影には造影剤を必要とし、マンモグラフィの検査時間が約10分であるのに対してMRIでは約20分かかるなどのデメリットもある。2.乳癌の精密検査として行われる穿刺吸引細胞診は、しこり部分に細い針を刺し、注射器に吸引した細胞を確認する方法である。3.2006(平成18)年度に厚生労働省より「40歳以上の女性に対し、2年に1度、視触診及びマンモグラフィ併用検診を行う」指針が通知された。ほとんどの自治体が、2年に1度の受診を推奨している。マンモグラフィは胸部を広範囲に読影することが可能で、微細な石灰化段階の腫瘍を早期に発見することができる。4.遺伝性乳癌卵巣癌症候群は遺伝性のがんの一つで、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の変異を生まれつきもっており、若年で乳癌を発症するという特徴がある。確定診断には遺伝子検査が行われる。現在、保険診療ではなく費用は自己負担であり、乳癌検診としては推奨されない。 [解答]3.問題2 基礎助産学Ⅰ 目標Ⅱ6 女性生殖器と乳房の疾患│C 検査法Ⅰ-Ⅱ-6-C102-002妊娠は糖代謝に大きな影響を与える。非妊時には正常な糖代謝を示す人でも、妊娠すると、増加したインスリン必要量に対応することができない場合があり、妊娠中のみ糖代謝異常を示す妊娠糖尿病を発症することがある。1.2.妊娠中には、ヒト胎盤性ラクトーゲン、プロゲステロン、エストロゲン、コルチゾールなど、インスリンの作用と拮抗するホルモンが増加する。また、胎盤でインスリンが分解されるため、インスリンの必要量が妊娠していないときの約2倍に増加する。空腹時血糖は非妊時より低いが、食後血糖値の上昇の程度はより大きくなる。3.血中インスリンが過剰分泌し、急速に血糖の低下が起こる。その結果、食事による血糖の変動が起こりやすくなる。4.妊娠中は母体末梢組織におけるインスリン感受性が45~70%低下する。胎盤におけるグルコースの移行は、母児間の血糖値の差に依存している。このような母体のインスリン感受性低下は、食後、血糖値が比較的高い時間を確保し、胎児へのグルコース供給を確実なものとする効果があると考えられる。 [解答]2.問題3 基礎助産学Ⅱ 目標Ⅰ2 妊娠による母体の変化│B 全身の変化│f 内分泌系、代謝系Ⅱ-Ⅰ-2-B-f102-003基礎助産学基礎助産学Ⅰ解 説妊娠・分娩中の喫煙が増加させる有害事象は以下のとおりである。(「産婦人科診療ガイドライン-産科編2017」より)母体側;流産、頸管無力症、切迫早産、37週未満の前期破水、早産および妊娠33週未満の早産、絨毛膜羊膜炎、常位胎盤早期剝離、前置胎盤胎児側;口唇裂および口蓋裂、先天性心疾患、手足の欠損、腹壁破裂 [解答]3.妊娠・分娩における喫煙の影響でリスクが増加するのはどれか。1.母体の耐糖能異常2.妊娠高血圧症候群3.前置胎盤4.過期妊娠5.弛緩出血3 女性の健康に影響を及ぼす因子問題18D 嗜好・薬物a 喫 煙Ⅰ-Ⅱ-3-D-a99-067【難易度…難】4 性と生殖に関する解剖と生理【難易度…難】問題19正常の卵巣機能をもつのはどれか。1.アンドロゲン不応症2.Turner〈ターナー〉症候群3.Asherman〈アッシャーマン〉症候群4.Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群Ⅰ-Ⅱ-4101-002解 説1.アンドロゲン不応症は、性分化疾患の一つで、性染色体はXY型(男性型)である。精巣をもつが、体内にとどまっており(停留精巣)、外性器はアンドロゲンに反応しないため完全型では女性型、部分型では男性型とも女性型とも判別しがたい形態になることが多い。卵巣・子宮をもたないため妊娠・出産は不可能である。2.Turner(ターナー)症候群は、性染色体異常の一つで、X染色体を1本しかもたないことによって発生する一連の症候群である(45,X)。低身長や第二次性診断に至る。子宮はあるが、卵巣機能不全のため、妊娠できない。3.Asherman(アッシャーマン)症候群は、子宮内搔爬などの操作により、子宮壁が癒着したものをいう。卵巣機能は正常であるが、癒着により子宮内膜が厚くなりにくいため、不妊の原因となることがある。4.Klinefelter(クラインフェルター)症候群は、性染色体異常の一つで、性染色体にX染色体が1つ以上多いことで生じる一連の症候群である(47, XXY)。外性器・内性器は男性型であるが、精巣萎縮、無精子※各回の国家試験問題は厚生労働省のWebサイトで公開されています。 *該当する出題基準の中項目・小項目がない場合は、空欄としています。 本書は最新のガイドラインや制度、法律等に沿った内容となるよう努めておりますが、常に最新のものをご参考ください。また、本書出版後の追加情報を弊社Webサイトにて随時更新いたしますので、併せてご参照ください(https://www.medica.co.jp/catalog/book/8091)。出題基準大項目出題基準中項目出題基準小項目●●●●●●●●●●●●●●難易度チェックボックス試験回数問題番号出題基準コード出題基準大項目出題基準中項目出題基準小項目難易度チェックボックス試験回数問題番号出題基準コード**
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