188のネガティブな期待によって学習者がネガティブな変化を示すことはゴーレム効果と呼ばれる。 選択肢②のプラセボ効果は、実際には何の影響のないものを、影響があると思い込むことによって、実際に何らかの影響が生じる現象である。何の効き目もないもの(たとえば小麦粉を固めたもの)をうつ病の薬だと信じ込ませて服用させると、抑うつ効果が生じる現象などである。 選択肢③のヤーキーズ・ドットソンの法則とは、覚醒・緊張水準と活動水準との間には逆U字型の関係があることを示したもので、覚醒・緊張水準は高すぎても低すぎてもパフォーマンスを下げ、適切な覚醒・緊張状態が最もパフォーマンスを高めるとするものである。 選択肢④のハロー効果は、他者評価に関する現象である。人は、外見や学業成績、運動などある一側面で優秀な特性を有している者をみると、その人物全体に対して肯定的・好意的な印象・評価を抱く現象である。①ピグマリオン効果②プラセボ効果③ヤーキーズ・ドットソンの法則④ハロー効果⑤適性処遇交互作用 小学5年生の男児Aと男児B。ふたりは同じクラスで学んでおり、知能検査の結果もほぼ同程度である。男児Aの学業成績が良好であるのに対し、男児Bの学業成績は平均以下であった。6年生に進級した際、担任教師が変わった。5年生のときの担任教師は黒板を用いた従来型の授業を展開していたが、その教師は映像機材やIT機器を多用した授業を展開した。その後、男児Aの学業成績は徐々に低下していったが、男児Bの学業成績は上昇していった。 このような現象を表す用語として、適切なものを1つ選べ。 日本では、ほとんどの学校で何十人もの児童生徒を対象にひとりの教師が授業を行う集団一斉授業が行われている。児童生徒に授業内容を理解してもらうため、教師は授業研究、事前準備などを行い、授業に臨むが、その授業がすべての児童生徒にとって最適であるとは限らない。 L. J. Cronbachは、既有知識、学力、性格、態度など児童生徒 (学習者) の特性によって、適切な教授法が異なることを提唱し、これを適性処遇交互作用と呼んだ。R. E. Snowらは学習者の対人的積極性によって講義形式の指導と映画による指導とで直後の再生量が異なることを明らかにしている。この事例の場合、男児Aにとっては従来型の授業が適していたが、男児BにとってはIT機器などを用いた授業の方が適していたのである。 選択肢①のピグマリオン効果は、教師期待効果のひとつである。教師がポジティブな期待をもって学習者に接すると、成績が向上する、学習意欲が高まるなど、学習者にポジティブな変化が生じるようになる現象をピグマリオン効果と呼ぶ。反対に、教師学習言語問181教育解答:⑤同一の教授法で授業を受けても、受け手(児童生徒)個人の特性によって、その教授法の効果が異なることを適性処遇交互作用と呼ぶ。
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