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189⑤事例問題 Aは副部長のBに注意を受けてから、Bは「怖い人」という思いを抱くようになった。それ以降、Bが注意しているような「怖い人」に合致する情報は覚えているが、部員を優しく励ましたり、場の雰囲気を和ませるような発言をしたりする場面(反証情報)については注意を向けず、覚えていない。このように、自分の信念や思考などと合致するような情報や、信念などを補強したりするような情報を優先的に取得し、自分の信念や思考は正しいという確証を得ようとする傾向を確証バイアスと呼ぶ(問18も参照)。 選択肢①の錯誤相関は、実際には関連がない、あるいはほとんどないところに、関連があると認識してしまうことである。血液型と性格については関連がないことがこれまでにも示されているが、それでも両者には関連があるとする言説は途絶えない。錯問 18歳の女性A、大学生。サークルに入部して1か月がたった頃、Aはいつも集合時間に遅刻するため、副部長のBから注意を受けた。そのことをきっかけにBを怖いと思うようになった。その後、忘れ物をした部員にBが注意している場面を偶然見かけ、Bはいつも怒っているので怖いという思いが強くなった。実際には、Bが部員を優しく励ましたり、場の雰囲気を和ませる発言をしたりする場面も見たことがあるが、そのことはAの印象には残っていなかった。やがてAは「Bがいるからサークルに行きたくない」と言い、サークルを休むことが多くなってきた。 このようなAの心理的特徴として、最も適切なものを1つ選べ。①錯誤相関②確証バイアス③自己評価維持モデル④スポットライト効果⑤利用可能性ヒューリスティック(第2回試験問137)過去問題をチェック誤相関はときにステレオタイプや偏見・差別を生み、助長させることもある。 選択肢③の自己評価維持モデルは、A. Tesserによって提唱された他者との関係における自己評価の維持・高揚に関するモデルである。自己関連性の高い課題において心理的距離の近い者が自分よりも優れていると、自己評価は下がり、心理的距離を遠ざける(比較過程)。自己関連性の低い課題において心理的距離の近い者が優れていると、自己評価は高まり心理的距離は近づく(反映過程)。このように自己評価維持モデルでは「心理的距離」「自己関連性」「課題の遂行」という3つの要因が自己評価レベルの決定要因であるとしている。 選択肢④のスポットライト効果は、自分の外見や言動が他者に注目されていると過大に評価する現象であり、選択肢⑤の利用可能性ヒューリスティックは思い出しやすい情報の生起確率を高く見積もる現象である。解答:②人は外的な情報をすべて正確に取得しているわけではなく、自分の信念や思考、感情などに合致した情報や、それらを補強したりする情報を優先的に収集する傾向がある。

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